パナソニックの利益を支える祖業の「電設資材」 国内に加え世界でも2030年にシェア1位を狙う
EW社の堅調ぶりは通期決算でみるとよりわかりやすい。EW社の売上高は2023年3月期で1兆0045億円、営業利益は467億円だった。パナソニックHDの売上高が8兆3789億円、営業利益が2886億円だったことから考えれば、全社利益の約16%を稼ぐ屋台骨の1つといえる。
電子部品などを製造するパナソニックインダストリーの営業利益は668億円。主に家電を扱うくらしアプライアンス社は553億円。EW社はそれらに次いで全社で3位の規模だった。電池やITよりも足元の利益面での貢献は大きい。
電材事業の歴史は大正時代にさかのぼる。パナソニックの創業者、松下幸之助が1918年に、「アタッチメントプラグ」を発売したのが始まりだった。
当時の住宅には、現在のようなコンセントがなかった。そこで電灯ソケットを電源としていた。アタッチメントプラグは、電化製品のコードを電灯ソケットにつなぐための接続器具となる。
アタッチメントプラグ発売以来、コンセントやスイッチ、照明用の引っかけ器具など家庭内のあらゆる配線器具を手がけてきた。戦後の復興や経済成長とともに家庭内で使用する電化製品の数が増えるのと同時に、コンセントやスイッチの需要も増え続け、電材事業は成長してきた。
現在のパナソニックが得意とする電子部品事業や家電事業なども、元をたどれば配線器具から派生した事業だ。
電化製品の普及が予想されるインド
ただ、日本国内は人口減少に転じ、高付加価値製品の浸透を図ってはいるものの市場の拡大は見通せない。今後の成長のカギを握るのは海外の市場となった。とくに注目はインド市場だという。
パナソニックでは1991年の台湾工場設立を皮切りに電材ビジネスで海外進出を進めてきた。2000年以降はさらにグローバル化を加速し、アジアやヨーロッパで工場を開設。2007年にインドのアンカーという現地の電材メーカーを買収した。
今年の国連の推計でインドの人口は、中国を抜いて世界最大となった。今後は年平均7%程度のGDP成長が続くと予想されているほか、中間所得層も拡大すると考えられている。
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