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「一夜漬けの知識」が記憶に残らない科学的理由 詰め込んだ知識を思い出せなくなるのはなぜか

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  • 下村 健寿 福島県立医大主任教授、医師
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もしあなたが脳に詳しい知見をお持ちだったら、「脳をコントロールしているのは、アセチルコリンとかグルタミン酸とかいう化学物質ではないのか?」と思ったかもしれません。

脳を制御しているのは、電気なのか? 化学物質なのか?

じつは、アセチルコリンやグルタミン酸などの化学物質は、神経伝達物質とも呼ばれます。

脳は情報をあくまでも電気信号として、ひとつの神経細胞から次の神経細胞へと伝達していきます。

それぞれの神経細胞は突起を伸ばし、伸ばした突起の先で、別の神経細胞につながろうとします。

このつなぐ部分のすきまを「シナプス」と呼びます。

(画像:『頭のいい人が問題解決をする前に考えていること』より)

そして、そのわずかなすきまに、アセチルコリンやグルタミン酸といった神経伝達物質が放出され、次の神経細胞の電気活動をコントロールすることで、情報を電気信号として伝達していくのです。

こうしたシナプスを通じて神経細胞同士はお互いに連携し、細かく幾重にも複雑につながり合った回路をつくって電気信号を伝えあうことで、脳は複雑な作業をこなしています。

つまり、脳は巨大な電気回路なのです。

「勉強すると脳のシワが増える」はウソ

ところで小さいころ、「勉強すると脳のシワが増える」という話を聞いたことはありませんか?

これはウソです。

シワが増えるということは、脳の神経細胞の数が学習に伴って増えるということになりますが、それはありえません。

もし、学習したことが神経細胞そのものに貯蔵されるのだとしたら、新たなことを学習するたびに神経細胞が増えることになります。

そんなことになったら、勉強するたびに脳が大きくなっていき、脳が頭蓋骨のなかに収まりきらなくなってしまいます。

では、知識はどうやって脳のなかに蓄積されるのでしょうか?

脳が学習し、記憶する際のメカニズムについては、まだよくわからない部分も多く、いまなお世界中で熱心に研究が行われています。

しかし、その基礎的な仕組みについてはわかっています。それは神経細胞同士のつながりと、その強さにあります。

つまり、すでに存在している神経細胞同士に「新しいつながり」をつくることで、新たな情報を記憶させているのです。

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