ゴリラ研究から学んだ人間の本質は「共感力」 元京大総長・山極氏が語る「人間らしい学び」
「自己肯定と共感力から生まれる学びこそ、人間の特徴だ──」。2023年4月4日、元京都大学総長でゴリラ研究の第一人者、山極壽一氏のトークイベント「人間らしい学びとは何か」が中高生を対象に開催されました(主催・株式会社ポプラ社)。今、10代に必要な学びとは何か。ゴリラ研究の観点から語られた、山極氏の講演を抄録します。
人間とはどういう生き物なのか、人間らしい学びとは
こんにちは。今日は「人間らしい学びとは何か」というたいそうなテーマでお話しさせてもらいます。私は人間の本質とは何かを考えるために、長いことゴリラの研究をしてきました。ゴリラと人間の成長過程を比べてみると、人間とはどういう生き物なのかがよくわかります。
人間らしい学び、それは自己肯定感を育むこと、そして人間に備わる共感力を生かして他者と語り合うことです。
まずゴリラと人間の赤ちゃんを比べてみましょう。ゴリラの赤ちゃんは、生まれたときの体重が1.6キログラムほどです。そして3年間は母乳で育ち、うち1年はお母さんが片時も赤ちゃんを腕から離しません。一方、人間の赤ちゃんは3キログラムを超えて生まれてくることが多いです。ゴリラより重たく生まれてくる割には、人間の赤ちゃんもお母さんにつかまれないくらいひ弱です。乳離れは、ゴリラが3年から4年かかるのに対し、人間は1年から2年です。
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