新NISAを待たずに今からNISAを始めるメリット 非課税枠の拡大や口座開設などの手間に利点

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なお国内の公募投資信託は現在約6000本ありますが、うち新NISAの成長投資枠で購入できる投資信託(国内籍の投資信託、上場投資信託(ETF)、上場投資法人(REIT等))は7月現在で約1300本とされています。対象商品は今後12月まで複数回に分けて追加されていく予定ですが、最終的にも約2000本程度になると見られており、現行より絞られるようです。

つみたて投資枠の対象商品はつみたてNISAと同じ

新NISAの「積立投資枠」については、現行のつみたてNISAと対象銘柄は変わりません。現行NISAで積み立てている投資信託と同じ商品を、新NISAで引き続き購入することができます(※ただし現行NISAで購入したものは現行NISA口座で保有、新NISAで購入したものは新NISA口座で保有)。

対象商品は販売手数料がゼロ、運用にかかる信託報酬というコストが一定水準以下、分配頻度が毎月でないなど、長期の積み立て・分散投資に適した金融庁指定の投資信託に限られ、7月現在約250本が採用されています。

初心者にも運用しやすいといわれるものだけでなく、運用経験者から高く評価されている商品も多く、積み立て投資をする分には、新旧で使い勝手に違いはほとんどないと考えられます。

また新NISAの「つみたて投資枠」の対象商品は「成長投資枠」の対象商品にも含まれるものがほとんどで、つみたて投資枠と成長投資枠で、同じ投資信託を購入することも可能です。成長投資枠では一括購入のほか積み立てで投資をすることもできるので、非課税投資枠年間360万円の全額を、現行のつみたてNISAのように積み立てだけで使うことも可能です。

とはいえ投資にはリスクがあり、いくら税がかからなくても元本割れすれば保有資産が減ってしまうおそれと隣り合わせです。国は貯蓄から投資への流れを促進すべく、今回の新NISAをはじめ投資優遇措置を拡充していますが、投資には余裕資金を充てることは大前提です。

制度を最大限に活用するという意味では早くからNISAを始めるのが有利ですが、投資に回せるお金があるか、投資をした成果をいつ使いたいのかといったことも考えてからでも、遅くはありません。

加藤 梨里 FP、マネーステップオフィス代表取締役

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かとう りり / Riri Kato

保険会社、信託銀行などを経て2014年にファイナンシャルプランナーとして独立開業。家計相談、セミナーや雑誌・ウェブサイトでの執筆を中心に活動。慶應義塾大学SFC研究所上席所員として、健康増進とライフプランの関係をテーマに研究活動も行っている。http://moneystep.co/profile

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