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キャリア・教育 #姫野ノート 「弱さ」と闘う53の言葉

心が強い人は「過去を捨てる」を習慣にしている ただ目の前のことに集中することの大切さ

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というのも、ラグビーは“アップセット”番狂わせが最も起きにくい、「強いほうが勝つ」スポーツだからだ。体と体を直接ぶつけあいながら、ボールを手で持って運ぶという確実性の高い得点方法で競い合うため、サッカーや野球よりも運や偶然の入り込む余地が少ないのだ。

当然、僕の周囲は「どうやっても勝てるわけがない」という声が多勢を占めていた。

そのチームにどう挑んで、どう勝つのか。僕たちが最初にしたことはシンプルだ。ロシア代表戦の勝利もアイルランド代表との対戦成績も、意識の中から消し去ることから始めた。

目の前にある局面、次のプレーに全力で

勝ったことは素晴らしい結果だが、次の瞬間からそれはもう過去のこと。過ぎ去った結果の余韻に浸っていても、次には繋がらない。同じようにアイルランド代表にこれまで勝ったことがないのも、すでに過去のこと。今の自分にもチームにも無関係だ。良い過去も悪い過去も、未来も全部まとめて捨て去って切り替える。

そして、同時に先を見ることもやめた。まだ始まってもいないアイルランド代表との勝負の行方を心配する必要もないからだ。例えるなら、

「大きな病気になったらどうしよう」

「明日、交通事故に遭ったらどうしよう」

『姫野ノート 「弱さ」と闘う53の言葉』(飛鳥新社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

と、起きると決まってもいないことに、ビクビクしながら生活するようなもの。

心配したところでアイルランド代表の強さは変わりようがないのだから、それよりも、どれだけチームの力を1つにしていけるか、ということにフォーカスしたほうがずっといい。自分たちが最高の準備をするために時間を使わなければいけないし、集中しているか、していないかの差で結果に大きな差が生まれるのは、グラウンドの上でも同じだ。

過去と同じように未来も、直接自分の力が及ぶものではないけれど、ただ、未来が過去と違うところが1つだけある。今、目の前にある局面、次のプレーに全力で自分の影響を及ぼし続けていくことで、未来はいくらでも書き変えることができる。

実際に、僕たちはそれを証明してみせた。

19対12。

日本代表はアイルランド代表を倒したのだ。

11戦目で初めての勝利だった。

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