心が強い人は「過去を捨てる」を習慣にしている ただ目の前のことに集中することの大切さ

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日本代表と予選グループ同組は、アイルランド代表、スコットランド代表、サモア代表、ロシア代表の4か国。世界のトップ20が集まる大会だから、どこと当たっても厳しい試合になるのはもちろんなのだが、中でもアイルランド代表とスコットランド代表が、最大のライバルになると考えていた。

過去も未来も「全部、捨てる」

当時、日本代表の世界ランキングは9位。対してスコットランド代表は7位、アイルランド代表は2位だ。特にアイルランドは大会が始まる直前まで世界1位にランクされていて、優勝候補筆頭として日本に乗り込んできていた。

もちろん、どちらも“ティア1”だ。

“ティア”とは、2023年5月まで存在した世界のラグビー界における“グループ分け”のようなもので、世界ランキングとはまた別のカテゴライズだ。ティア1は、序列の中の最上級に位置するラグビー強豪国を指している。現在はティアという呼称は廃止されて、新しい5階層のグループ分けに改編されティア1も“ハイパフォーマンス・ユニオン”と呼ばれることになった。

2019年当時、このティア1には10か国、それに準ずるティア2には13か国が属していた。当時の日本代表はティア2という位置付けだった。ティア1と2の間には、相当な力の差がある。2015年までのワールドカップで、ティア2からベスト8入り=決勝トーナメント進出できた国はフィジー、サモア、カナダのたった3か国だけだった。つまり、ワールドカップ予選突破すら許されないくらいにティア1の壁は高く、厚いのだ。

日本代表が目標とするベスト8に確実に進むためには、そのティアでも世界ランキングでも格上の2か国を倒さねばならなかった。しかし、その時点までの戦績はというと、日本代表はスコットランド代表に1勝10敗、アイルランド代表には1度も勝ったことがなかった。

アイルランド代表は予選リーグ初戦で、世界7位のスコットランド代表をノートライに抑える完璧な勝利を挙げていた。1戦目のロシア代表戦に勝利した日本代表の次の相手は、そのアイルランド代表だった。

日本中、いや世界中の誰もが「勝てる」と思っていなかっただろう。ラグビーというスポーツを少しでも知っている人ならなおさらだ。

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