日本株は日銀金融政策決定会合後にどう動くのか 海外投資家の「爆買い第2弾」は本当にあるのか

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振り返ると、改めて、5月19~21日に開催されたの広島サミット(主要7カ国首脳会議)の株式市場への影響は大きかった。西側の主要7カ国が「対ロシア」「対中国」で結束できるかどうかが最大の焦点だったが、オンライン参加予定だったウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領のリアル参加は大きなサプライズとなった。

ここでホスト役を務めた日本の岸田文雄首相は国際社会に中国に対するG7のスタンスについて『分断ではなく、リスク低減』であることを発信。このことで恩恵を受けるのが日本であることがさらに注目され、海外投資家の第1弾の爆買いに拍車をかけたとみている。

直近、中国は、広島サミットの共同文書や、東京電力福島第一原発の処理水放出の方針に反対している。このような中、中国がただちに団体旅行の解禁などの規制緩和に踏み切る可能性は低いとの見方が多いようだ。

APECで米中首脳会談開催なら日本株にも大きなプラス

ただ、一方では米中対話が再開となっているのも事実だ。中国景気の低迷も影響しているのか、6月から矢継ぎ早にアメリカの現役閣僚等が訪中している。このことはポジティブに評価すべきだろう。

現状ではいつ開催されるか不明だが、仮に11月のAPEC(アジア太平洋経済協力)で米中首脳会談が実現すれば、日米中3カ国はもちろん世界経済にとって大きなプラスと見るべきだ。

その際は日本株にとってもポジティブなイベントになるだろう。引き続き、今年秋冬までの展開がどうなるのか、期待をもって見守りたい。

(本記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

糸島 孝俊 株式ストラテジスト

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いとしま たかとし / Takatoshi Itoshima

ピクテ・ジャパン株式会社投資戦略部ストラテジスト。シンクタンクのアナリストを経て、日系大手運用会社やヘッジファンドなどのファンドマネジャーに従事。運用経験通算21年。最優秀ファンド賞3回・優秀ファンド賞2回の受賞歴を誇る日本株ファンドの運用経験を持つ。ピクテではストラテジストとして国内中心に主要国株式までカバー。日経CNBC「昼エクスプレス」は隔週月曜日、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、BSテレビ東京「日経ニュースプラス9」、ストックボイス、ラジオNIKKEIなどにも出演中。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)、国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。

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