日本株は日銀金融政策決定会合後にどう動くのか 海外投資家の「爆買い第2弾」は本当にあるのか
今のところ、投資スタンスは「現状維持」だ。これは前回時点と変わっていない。なぜなら、想定通りの展開になっているからだ。では、これらを踏まえ、いつ「海外投資家の第2弾の爆買い」が入るのかを考えてみたい。
中長期の海外投資家は日本株に失望していない
前回は(1)「外国人投資家は株主総会で日本企業が企業価値向上についてどう説明するかを注視しているが、現時点では期待したほどではない」(2)「4~6月期決算の結果などを冷静に判断するタイミングだが、同期の決算は大幅増益になる可能性はそう高くない」という2つのポイントを述べた。これらをアップデートしてみよう。
まず、企業価値向上はどうか。やはり想定どおり、6月の株主総会を起点に、企業の本気度の「モメンタム」(勢い)は弱くなっているようにみえる。「東証の低PBR対策が日本企業の資本コスト意識を高めたのは事実。だが外国人投資家の日本企業に対するガバナンス改善期待を今のところ下回っている」という厳しい意見も聞こえてくる。
企業の本気度は「コーポレートガバナンス(CG)報告書」にも透けて見える。同報告書は今年「定時株主総会終了後に遅延なく提出すること」とされており、すでに発表した東証プライム上場企業は約1300社に達した。だが、アクティビストに狙われた企業などPBR1倍割れの危機感の強い企業が4~5月の決算発表時までに低PBR対策を発表した一方、「提出期限ギリギリ」の7月のCG報告書に低PBR対策を発表した企業も少なくなかった。そうした企業は、本気度や具体性が低くみえる。
東証の資本コストを意識した経営の改革要請は、東証プライム企業全体への要請である。だが高PBR企業の中でCG報告書に資本コストや株価を意識した経営について記載した企業は、低PBR企業に比べて危機感が小さいようだ。短期的には、外国人投資家の日本企業に対するガバナンス改善期待を下回っている可能性がある。
ただ、私にはこれは想定内だ。やはり東証の低PBR対策が日本企業の資本コスト意識を高めたのは事実だ。来年の株主総会に向けては再度企業の本気度は上がってこよう。この東証の「企業価値向上」の改革は時間がかかる。短期の海外投資家は勘違いしてがっかりするかもしれないが、本質が見えている中長期の海外投資家も私と同じように想定内とみて、決して落胆はしていないはずだ。
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