屋内退避の南相馬で何が起きているか--弱体化した医療の回復へ、現場の努力が続く
東京電力福島第一原子力発電所から、半径20~30キロメートル圏に中心部が位置する福島県南相馬市。原発が水素爆発を起こした直後の3月15日、住民に対して「屋内退避」指示が出され、病院や診療所の閉院が相次いだ。多くの店舗もシャッターが閉まり、人口7万人の市街地から人影が消えていた。
その南相馬市に、住民が次々と戻ってきている。「正確な人口は把握できていない」(阿部貞康・市長公室次長)が、一時2万人まで減ったといわれた人口は現在、「3万~3万5000人に増えているようだ」(阿部次長)。市中心部の原ノ町駅前(右上写真)は閑散としているものの、市役所はごった返し、3月25日に再開したスーパーマーケット「Saiya」も来店客でにぎわう(下写真)。4月に入ると民間病院で診療の再開も相次ぎ、開院時には患者の行列ができている。
静まり返った町に住民が戻ってきたが…
とはいえ、いったん喪失した都市機能の回復は難しく、現在も多くの店舗が閉じたままだ。郵便物や新聞も家庭に届かない。南相馬市立総合病院は、震災前に約200人いた入院患者をゼロにした後、現在も外来患者のみに診療を限定(下写真)。救急車受け入れもしていない。