歯を磨くように「勉強する習慣」持つ子の凄い工夫 脳の仕組みを知れば、ラクに習慣化できる

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難しく詳細な情報は必要ありません。大まかな脳のメカニズムを理解することで、学びや自分の能力に対するポジティブなイメージを持つことが目的です。

そうやって変化し続ける脳のイメージを持つことによって、実際に子どもの成績や学習に対する意識が改善することが明らかにされてきています。

ポジティブな自己イメージを持つことがパフォーマンスの向上につながる

たとえば、数学の教育学の世界的権威である、スタンフォード大学のボアラー教授「youcubed」という数学指導プログラムにおいて、脳科学の事実を子どもに教えることで子どもの成績がアップしたというデータが報告されています。

また、脳科学のシンプルな事実を学ぶことで、子どもが「成長マインドセット」を持てるようになります。

「成長マインドセット」は、世界的ベストセラー『マインドセット─「やればできる!」の研究』の著者、世界的な教育学者であるスタンフォード大学のキャロル・ドゥエック教授が提唱してきたコンセプトです。

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子どもの才能や能力は既定のもので、学習したり成長しても変化しないというイメージが「固定マインドセット(fixed mindset)」。それに対して、才能・能力は努力やトレーニング次第で伸びていくというイメージが「成長マインドセット(growth mindset)」

これまでの研究によれば「成長マインドセット」を持っている子どもは、忍耐強く、成績やパフォーマンスも右肩上がりなのに対し、「固定マインドセット」の子どもは、諦めがちで向上心に欠け、成績やパフォーマンスも横ばい

つまり、脳科学を学ぶことで「成長マインドセット」でポジティブな自己イメージを持つことができるようになると、成績やパフォーマンスの向上につながるというわけです。

ぜひ、本記事で読んだ、シンプルな脳科学のイメージを子どもにも教えてあげてください。そうすることによって、子どもが正しくポジティブな脳のイメージを持てるようになり、効果的な学びができるようになります。

星 友啓 スタンフォード大学・オンライン高校校長 哲学博士

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ほし ともひろ / Tomohiro Hoshi

スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長。哲学博士。1977年生まれ。東京大学文学部思想文化学科哲学専修課程卒業。その後渡米し、スタンフォード大学哲学博士を修了。同大学の講師を経てオンラインハイスクールの立ち上げに参加。2016年より校長に。オンライン教育の世界的リーダーとして活躍。『全米トップ校が教える自己肯定感の育て方』など著書多数。
公式サイト/https://tomohirohoshi.com

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