「3人目のダウンタウン」、2人との絆が続いたワケ 吉本元会長・大崎洋さんと松本人志さんの関係性

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また、これは裏を返せば、「松本さんに居場所を作ること自体が、大﨑さんの居場所である」ことを証明しているような気もします。

さんまの「しゃーない」で心が軽く

『居場所。』という本の中にはダウンタウンだけでなく明石家さんまさんとのエピソードも書かれていました。「若いころから誰にも相談しない性格だった」という大﨑さんが唯一相談したのが、さんまさんで、しかもその内容は「離婚するかどうか」というプライベートの話。

「さんまくんは『大﨑さん、しゃーないもんはしゃあないよ』とあっさり言ってくれて、『そやな』と思えてありがたかった。その後、さんまくん自身が離婚するときも『しゃーないわ』と言っていました。『しゃーない』は言われた人も、口に出した本人も、どこか心が浄化されるから、口に出して言ったほうがいいんじゃないですかね」(大﨑さん)

(撮影:梅谷秀司)

これは「悩みが解決しなくても、『しゃーない』という言葉でだましだましやっていったら、そのうちいい風も吹いてくる」という、いかにもさんまさんらしい考え方。ベストな解決方法があったとしても、そのとおりになることはなかなか難しい。だから「しゃーない」とつぶやくことで少し心が軽くなって絶望せずに済むということでしょう。ビジネスパーソンもベストを求めすぎず、時に「しゃーない」を使ったほうがいいのかもしれません。

『居場所。』(サンマーク出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

「たとえば、恋人と別れてしまってよりを戻したい。仕事でこうしておけば良かった。何であんな心にもないことを言ってしまったのか。こんなときに限ってやらかしてしまった……これらは全部『もうしゃーないな』って。それしかないですね」(大﨑さん)

大﨑さんは「吉本には昔も今も、あのころの松本くんのような芸人がたくさんいます」「どこにも居場所が見つからないけどお笑いが好きで、唯一の選択肢としてこの道に入った人たちです」とも語っていました。今後も吉本の社員たちがこれまでの大﨑さんと同様に芸人たちの居場所を作っていくのでしょう。

ここまで挙げてきた「一回休み」「頑張りすぎない」「しゃーない」などは、およそ企業のトップとは思えないような脱力を誘う方法論でした。ただ、生きづらさを感じさせるようなニュースが続くなど、ストレスを抱えやすい現在の世の中にフィットするようにも感じますし、「居場所がない」などの悩みを抱えている人に参考になりそうです。

(大﨑洋さんのインタビュー前編はこちら
木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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