インドの事例にみられるように、防衛力整備において国産/輸入比率と特定装備や技術をどの国に依存するかは、国家戦略に重大な影響を与える。
そして重要なのは、現代の先進的な防衛装備・技術開発の国際共同開発の推進と、新興輸出国の台頭、民生技術のスピンオンという3つの潮流が、国家に国際装備協力の新たな選択肢をもたらしているということだ。
現代の先進的な防衛装備・技術開発の多くは国際共同開発の形態をとり、先進技術の取り込みや研究・開発・生産コストの合理化を図っている。たとえば、現代の第5世代主力戦闘機F-35は、アメリカを中心に英国、イタリア、オランダ、トルコ、カナダ、オーストラリア、デンマーク、ノルウェーが加わった9カ国での共同開発が進められた。
これら国際協力では出資額と貢献の度合いに応じた階層がつけられ、開発・生産における下請けおよび調達の優先権が付与されるモデルとなった。
兵器の国際共同開発という新しい安全保障モデル
防衛装備の国際共同開発は、国家間の戦略提携の新しいモデルともなっている。
その典型例といえる米英豪AUKUSは、2030年代初めまでに米バージニア級原子力潜水艦のオーストラリアへの供給をするとともに、英米豪が共同で次世代の原子力潜水艦を設計・建造することを合意した。
オーストラリアの原子力潜水艦導入は、オーストラリア海軍の作戦範囲がインド太平洋広域に広がることを意味するのみならず、アメリカとの海中領域における協力や、英国のインド太平洋への関与を位置付けることともなった。
さらにこれまで国際兵器市場において主要なプレーヤーとは言えなかった、新興兵器輸出国の台頭も著しい。その筆頭は韓国である。
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