「ユニゾ破綻劇」前進した入札と足踏みの責任追及 1次入札には12社が参加、9月中にも決定へ

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進捗する入札手続きとは対照的に、難航しそうなのが旧経営陣への責任追及だ。

そもそも、ユニゾHD破綻の引き金を引いたのは2020年6月に行われた株式非公開化だ。従業員一同が買収主体となり自社の株式を買い取る特殊なスキーム「EBO」を採用し、買収費用として投資ファンドから約2000億円を調達した。

非公開後のユニゾHDは、従業員が設立した買収主体「チトセア投資」の子会社として事業を継続。チトセア投資はユニゾHDからの配当金を原資に、投資ファンドへの返済を進める手筈だった。ところが、ユニゾHDはほどなくしてチトセア投資に約2600億円を貸し付け、投資ファンドへの返済に回された。

チトセア投資は買収主体として設立された一種のペーパーカンパニーで、事業は行っていない。収入もユニゾHDからの配当金頼みだ。約2600億円もの貸付金の回収は絶望的で、銀行や社債権者が割を食った。少しでも弁済原資を確保する意味でも、旧経営陣を含む関係者に損害賠償を求められるかは、経営再建と並ぶ関心事だ。

60万通の社内メールを検証

だが、道のりは険しい。弁護団は取締役会議事録や契約書類の収集、現経営陣や従業員のヒアリングなどを通じて、実態把握を進めている。中でも煩雑なのが社内メールの掘り起こしだ。ユニゾHDの社内メールは2020年6月まではサーバーに、7月以降は各個人のPCに保存されている。約60万通もの膨大なメールの中から、手がかりになりそうなやり取りを抽出・検証する作業は緒に就いたばかりだ。

「(旧経営陣に)多額の退職金が支払われている。計画倒産ではないかと思ったくらいだ。責任をじっくり調べてほしい」。19日の債権者集会では参加者から檄が飛んだ。EBOやその後の資金循環をめぐって、当時の経営陣や資金を拠出したファンド、そして当局はどのように動いたのか。ユニゾHDの経営再建後も、真相究明という課題はついて回る。

一井 純 東洋経済 記者

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いちい じゅん / Jun Ichii

建設、不動産業の取材を経て現在は金融業界担当。銀行、信託、ファンド、金融行政などを取材。

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