東日本大震災で過去最大・最長期間の災害医療に従事、NPO法人TMAT・橋爪慶人理事に聞く


 ただ今回は、患者さんを引き継ぐべき地元の医療機関が無くなった南三陸町と、病院が何とか残っているものの医師が不在となっている本吉病院での患者さんの引き継ぎが問題となっています。幸い、南三陸ではイスラエルチームが残した仮設診療所で地元の先生方が4月18日より保険診療を開始でき、TMATも5月2日に撤収する方針です。
 
 一方、本吉病院については、宮城県や気仙沼市との交渉を継続した結果、5月より全国国民健康保険組合協会のチームが診療を担ってくれるという話があり、そのチームに引き継げるように現在調整中です。

--気仙沼市にはどのようなことを望んでいますか。

本吉病院は現在、院長不在で病院の形をなしておらず、無償での診療が続けられています。災害時はやむを得ないとしても、通常の保険診療にきちんとバトンタッチしていく必要があります。5月からは行政からの要請で他の医療チームに引き継がれ、一歩進めたとは思いますが、やはり一時しのぎの体制でしかないと思います。

被災して人口が減少したとはいえ、現在も6000人近い住民が生活している地域です。医療機関が無い状態は尋常ではありません。もともと医療過疎地であった気仙沼市本吉地区の医療体制をどのようにするのか、また、唯一の医療機関であった気仙沼市立本吉病院をその中でどのように位置づけるのか、早急に方針を示す必要があります。

医療過疎地に起こった大災害で一時期はそれなりの医療提供が行われていたところから、医療チームが引き揚げた後どのような体制に軟着陸をさせるのか、日本では誰も経験したことのない取り組みになるのではないでしょうか。避難された方々が戻ってくれば1万人近い住民が生活することになります。その方々が基本的な医療すら受けることができなくなってしまうかもしれないという危機感が住民の中にあります。

今後、本吉地区にどの程度の医療機能を残すかを含めて、市はきちんとした方針を市民に示し、市民とともに医療の再建に取り組んでいく必要があると思います。
 


津波でほとんどの建物が流された南三陸町の市街地

(岡田 広行 =東洋経済オンライン)

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