「週末にまとめて作って冷凍庫へ」がNGな納得の訳 節電にも、食品の美味しさ保つ「冷凍保存テク」

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最近では1つの冷蔵庫に冷凍スペースを2つ備えた機種も登場していますが、理想は「食材を凍らせる冷凍庫の部屋」と、「保存用冷凍庫の部屋」を分けることです。

ホームフリージング(家庭で食材を凍らせること)をした場合、常温やチルドの食品を冷凍庫に入れると、庫内の温度が上がってしまいます。凍らせる用の部屋でいったん凍結させて、凍ったらメインの保存用冷凍庫の部屋に入れるほうが、冷凍の保存環境がよくなります。

週末に料理をまとめて作り置きする家庭もあると思います。ホームフリージングする場合、凍っていない食品を一度に大量に冷凍庫に入れると庫内温度が急上昇するので、おすすめしません。普段の料理の際に多めに作って、ちょこちょこ冷凍していくのが理想です。

また、冒頭で触れたように、冷凍庫には霜を溶かすためのデフロスト機能が付いています。これによって扉を閉めていても、庫内の温度が半日に1回ほど上がり、やはりこれも食品の乾燥や酸化の原因になります。

デフロスト対策をとる冷蔵庫も登場

デフロストはヒーターの熱による暖かい空気が冷凍庫内に流れ込むことで庫内の温度が上昇するもので、これはほとんどの冷凍庫で起きていますが、最近はデフロスト対策をとっている冷蔵庫も出ています。

牛ステーキ肉。おいシールド冷凍4週間(上)と通常冷凍4週間(下)(写真:アクア株式会社・ハイアールアジアR&D株式会社提供)

その1つがAQUA製の冷凍冷蔵庫です。「おいシールド冷凍」という機能で、冷気の出入り口に開閉式のフタが装備され、デフロストのときにフタが閉じることで、庫内への暖かい空気の流入を防いでいるのです。

冷凍庫の一番の目的は冷凍された食品をおいしく長く保管することにあるので、このような庫内温度を低く保つ機能は最も重視すべきと思います。

冷凍食品やホームフリージングが増えてきている現代では、冷凍庫スペースを増やした冷凍冷蔵庫へのニーズは、今後さらに高まってくると思われます。そしてスペースだけではなく「冷凍庫に入れさえすれば、おいしさがキープできる」というイメージから脱却する必要もありそうです。

家庭でできる工夫や心がけによって冷凍庫内の温度がキープできれば、みなさんが思い描くより快適な「冷凍生活」を楽しめるはずです。まずは冷凍庫の整理整頓から始めてみてください。

(構成・牧野めぐみ)

西川 剛史 冷凍生活アドバイザー

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にしかわ たかし / Takashi Nishikawa

ベフロティ株式会社代表取締役。高校生のころから冷凍食品に興味を持ち、冷凍食品会社に就職。冷凍食品の商品開発などの経験を生かし、現在は冷凍専門家として活動。冷凍王子としてテレビ番組「マツコの知らない世界」「ヒルナンデス!」など、その他テレビ、雑誌などに多数出演。
年間約1000品の冷凍食品を試食し、累計1万品以上の冷凍食品を実食した経験と商品開発の経験から、冷凍食品開発コンサルタントとしても活動。
著書は「いますぐ食べたい!冷凍食品の本」(自由国民社)、「冷凍王子の冷凍大全」(サンマーク出版)。Youtube「冷凍チャンネル」を開設。
さらに冷凍の資格講座として「冷凍生活アドバイザー養成講座」を開講。

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