これは裏返せば「女性が結婚したくない理由」にもなります。つまり、独身女性は結婚してしまうと、独身生活で謳歌している行動や生き方の自由がなくなってしまうと独身男性以上に思っているということです。そして、その自由の中には「自分のためにお金を使いたい」という気持ちもあることでしょう。
旅行や遊園地などのレジャー施設に1人で行くソロ活女子も増えていますし、かつて「おひとりさま」と揶揄された状況でもなくなっています。趣味においても、推し活にハマる女性も多い。正規雇用で十分な経済基盤があるのであれば、その自由を失ってまで結婚する必要性を感じなくなってしまうのも無理はないかもしれません。
それでなくても、同じく2021年の出生動向基本調査では、独身男女の希望するライフコースについて聞いていますが、女性の「非婚就業」を希望する割合が急激に増えて12%と男性の6%の倍にも広がっています。いわゆる「『選択的』非婚」が増えているのです。
圧倒的に多い「不本意未婚」
少子化の本質的な原因は、婚姻の減少です。1人当たりの母親が産む子どもの数は1980年代とほぼ変わっていませんが、そもそも婚姻数が1970年代から比べても半減してしまっているわけで、出生数が減るのは当然のことです。
子育て支援自体を否定はしませんが、すでに結婚している夫婦の数は今後も変わりません。新しく結婚していくカップルが増えないことには、それこそ5年後、10年後の子どもの数が増えることはないのです。
しかし、だからといって「結婚しない」という選択的非婚が増えていることを問題視したところであまり意味はありません。選択的非婚の数より、圧倒的に多いのは不本意未婚のほうだからです。
1980年代は少なくとも結婚を希望する20~34歳の独身男女の9割が結婚できていましたが、今や不本意未婚は女性で4割、男性では5割にもなります(参照:「不本意未婚」結婚したいのにできない若者の真実)。
男女ともに半数近くが「結婚したいのにできない」という状況があるからこそ、ある一定の年齢を超えた時点でその認知的不協和を解決するために「結婚できないんじゃないのだ。もともと私は結婚なんてしたくなかったのだ」と無意識に選択的非婚と思い込もうとしている人もいないとは言えません。
心を安心させるための理屈づけとして「私は結婚なんてしたくないのだ・不要なのだ」と思い込もうとしている人もいるでしょう。「選択的非婚」が増えている背景には、若いうちに結婚したいのにできなかった大勢の「不本意未婚」の行き着く先かもしれないです。
2023年4月までの婚姻数は速報値で前年比10.6%減です。このままいけば年間40万組台に減少するでしょう。婚姻減少は止まらないようです。
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