セレナ e-POWERに「技術の日産」は宿っているか ハイウェイスターV/LUXION、試乗で得た感触

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セレナを買うとしたら、e-POWERを選ぶのは前提として、ハイウェイスターVかルキシオンかが悩ましいところ。少なくとも私は、「ドライバーも退屈させない」という安徳氏の言葉どおり、ハイウェイスターVが楽しめた。

乗車定員は、ルキシオンのみ7名。それ以外のグレードは8名だ。この8名用シートにも、工夫がある。

スマートマルチセンターシートを前に倒し、前席アームレストとした状態(筆者撮影)

「スマートマルチセンターシート」というそれは、2列目のセンターシートが個別に折り畳めるうえ、スライドさせると運転席/助手席のセンターアームレストとして使えるのだ。センターシートを前にスライドさせれば、2列目の左右席間に空間が生まれるので、3列目シートへのウォークスルーが容易になる。

7人乗りのルキシオンでは、2列目シートは両側にアームレストを持つキャプテンシートだけれど、左右にスライドする機能があるので、くっつけることもできるし、あいだに空間をつくることもできる。

2列目が2名乗車となるルキシオンのインテリア(写真:日産自動車)

デジタル技術としてもう1つ。実生活でありがたい場面がありそうなのが、「プロパイロットパーキング」だ。カメラとソナーが駐車場所と周囲の障害物を検知し、ボタン1つで車庫入れが行われる。

これには日産初のメモリー機能が搭載され、自宅の駐車場など白線がない場所や、いわゆる旗竿地のように道路から奥まった場所への駐車も、一度メモリーしてしまえばボタン1つだ。

私にとって興味深かったのは、メモリーが5つ登録できること。自宅以外の“よく行く場所”も、メモリーできるというわけだ。止めるときの誤差は左右でだいたい10cm、前後だと30~40cmの範囲というから、使い勝手が良さそうではないか。

プロパイロットパーキングは5つのスペース(白線なしでも)を登録できる(筆者撮影)

少なくとも、白い枠線だけが引かれた公共駐車場では、スムーズな駐車ができた。狭いところでは、車外から「インテリジェントキー」で車両の出し入れが可能だそう。

「技術の日産」を、再び

燃費は、e-POWERハイウェイスターVで19.3km/L。2リッターガソリン車の最良は13.4km/L(Xグレード)なので、e-POWERの恩恵にはあずかれそうだ。

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価格は、「e-POWERハイウェイスターV」が368万6100円で、「e-POWERルキシオン」が479万8200円。価格で車種を選びたい人には、「e-POWER X」(319万8800円)もあるし、2リッターガソリン車(276万8700円〜)という手も。

日産には、ゴーン時代の頸木(くびき)から早く脱して、「技術の日産」全盛期のように開発力をフルに発揮したラインナップを展開する時代が来てほしい。セレナに乗って、そう願うのである。

<日産 セレナ e-POWER LUXION>
全長×全幅×全高:4765mm×1715mm×1885mm
車重:1850kg
パワートレイン:1433cc 直列3気筒+モーター
最高出力/最大トルク(エンジン):72kW/123Nm
最高出力/最大トルク(モーター):120kW/315Nm
燃費:18.4km/L(WLTC)
価格:479万8200円
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小川 フミオ モータージャーナリスト

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おがわ ふみお / Fumio Ogawa

慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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