セレナ e-POWERに「技術の日産」は宿っているか ハイウェイスターV/LUXION、試乗で得た感触

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回生ブレーキのついたハイブリッド車では、下り坂でバッテリーが満充電状態になるとブレーキの効きが甘くなる。

それを防ぐため、ナビで目的地を設定している際、ルート上にある上りと下りの勾配をシステムが事前に地図データでチェック。長い下り坂では前もってバッテリーを放電しておいて制動力を確保するとともに、目的地付近でEV走行ができるよう、バッテリーの充電容量を増やしておく。たいしたエネルギーマネジメント技術だと、感心した。

ヘッドライトと一体となるグリルが特徴的。黒い部分の面積をどれだけ残すかが悩みどころだったとか
(写真:日産自動車)

「後席に家族が乗っていることを想定して運転してみてください」

試乗会会場で、このセグメントを統括する日産自動車の安徳光郎常務執行役員に、そう言われた。乗り心地、騒音、それにクルマ酔いの原因になる乗員の頭の揺れを極力抑えるサスペンションの設定と、今回のセレナは乗員の快適性の改善に力を注いだという。

たしかに、アクセルペダルのオンオフなどを意図的に激しくやってみても、クルマのフロント部分の浮き沈みは抑えられているのがわかった。

試しに後席にも乗ってみたが、突き上げはかなり少ない。それに、サイドウインドウから頭が離れている着座位置の恩恵もあるのだろう。窓を叩く風切り音は少ないし、床からの音の侵入も抑えられているようだった。

ヨレの少ないタイヤのおかげ

デジタライゼーションといえば、今回、新設定されたルキシオンなるグレードに搭載されたプロパイロット2.0も注目の技術だ。

同一車線内なら、全車速域でハンズオフ走行を可能にするもので、ミニバン初搭載がうたわれる。私は東名高速で試してみた。

ルキシオンのエクステリア。デザインはモデルを通じて上品さを大事にしたという(写真:日産自動車)

「ハンズオフ走行のプロパイロット2.0は、行楽帰りなど安全で快適なドライブを約束するものですが、実際の開発がかなり難しかったのは事実です」

日産自動車で開発を担当するテクニカルマイスターの渡辺大介氏は、そう教えてくれた。

「直進安定性、操縦安定性、乗り心地といったミニバンに求められる案件との両立はかなり気を遣うところでした」

そこで、ルキシオンでは、ややサイドウォールが硬めのタイヤを採用。コーナリングや自動車線変更時のスムーズさは、「ヨレの少ないタイヤのおかげ」(渡辺氏)と説明された。

でも、硬いタイヤのネガも多少あって、高速で路面が荒れていたところでは、ゴツゴツ感がハンドルから手のひらへ、それに床下から足裏へ伝わってきた。それを感じていたのはドライバーだけだけど。

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