新型「アル/ヴェル」デザインのキモは何か? コモディティより洗練を選んだトヨタの方向性

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それよりも注目すべきは、2列目だろう。天井には照明、スイッチ、エアコン吹き出し口などを一体化した「スーパーロングオーバーヘッドコンソール」を備え、上級グレードではスマートフォンを思わせる脱着可能なタッチパネルでシートなどの操作が可能な「リヤマルチオペレーションパネル」を備えるからだ。

トヨタ初をうたうスーパーロングオーバーヘッドコンソール(写真:トヨタ自動車)

しかも、後者はシートの前後左右やエアコンの強弱などの物理的な調節だけでなく、Dream/Relax/Focus/Energizeという感覚的なモードを選べる。最近の家電を思わせるおもてなしであり、クルマの快適装備としては画期的だと思った。

Executive Loungeのインテリア。ニュートラルベージュのカラーはアルファードのみ設定(写真:トヨタ自動車)

メカニズムでは、TNGAプラットフォームを新たに採用したことや、3.5リッターV型6気筒エンジンに代えて2.4リッター直列4気筒ターボエンジンを投入し、2.5リッター4気筒とモーターを結合したハイブリッドで2WDも選べるようになったことなどが、ニュースになる。

新型は、アルファードとヴェルファイアの最低価格に大きな差があるが、それはガソリンエンジンがアルファードは自然吸気のみ、ヴェルファイアは逆にターボのみであるためだ。この差別化も、販売店が同じになったからこそ、できたことだろう。

デザインだけでなく走りのキャラクターの差別化も実現(写真:トヨタ自動車)

さらに、ヴェルファイアのみフロントパフォーマンスブレースを装着し、走りのキャラクターのすみ分けも行っている。これも、販売店が異なっていた先代までには、なかった差別化である。なお、発表会では、近い将来プラグインハイブリッド車(PHEV)を用意することも明かされた。

プリウスに通じるトヨタの方向性

事実上ライバル不在の孤高の存在と言えるだけに、「ドヤ顔」「ちょい悪」をさらに研ぎ澄ませる方法もあったはずだ。でも、新型はグリルの大きさは保持しつつ、それ以外は洗練度と躍動感を増していた。

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この点では、同じトヨタが今年モデルチェンジした「プリウス」に近いものを感じるし、コモディティを目指さなかったところも共通している。見た目はプリウスとはまるで違うけれど、トヨタデザインとしての方向性は一致しているとも感じたのであった。

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森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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