旧車を冷遇する日本と優遇するアメリカの差 ヒストリカル・ビークル・ライセンスってなに
JCCSの開催地であるカリフォルニア州を例にとると、ヒストリカル・ビークルとして登録できる車両の条件は、1922年以降に製造された車齢25年以上の歴史的に興味深いモデル、と規定されている。ちなみに1922年より古いモデルには、「馬なし馬車」として登録する同様の特例が用意されていたりもする。
カリフォルニア州では、クルマを新規で購入した際と、1年に1度、登録を更新する際にVLF(Vehicle License Fees)という登録料を支払う必要がある。VLFはクルマの市場価値(新車時販売価格もしくは現在の所有者に譲渡されたときに支払われた費用)をもとに算出され、その0.65%もしくは1.15%の費用を支払うことになっている。減価償却されるので、更新のたびに年々減額されるのも特徴だ。
だが、ヒストリカル・ビークルとして登録をすると、VLFは年間たったの2ドルで済み、オーナーは維持費を大きく節約することが可能となるのだ。ただし、クルマの使用用途はショーでの展示やオーナーズ・クラブでの活動、そのほかの類似した非商業的な目的における移動に限定され、日常的に走ることはできなくなってしまう。
排ガス検査などの項目についても一部省略
ちなみにスモッグ・チェックと呼ばれる、2年に1度の排ガス検査に関しては、もともと1975年モデルより古いクルマは、そもそも検査を受ける必要がない。1976年モデル以降の場合はチェックが必要だが、ヒストリカル・ビークルとして登録すると検査項目が通常よりも省略されることになっている。
VLFは1年に1度払うという意味では日本の自動車税と似ているが、大きな違いは算出のベースが市場価値に置かれているところだろう。古くても高額で売買される人気の旧車ほどVLFも高くなるので、「使用用途は限られてもいいからナンバーを切らしたくない」と考えるユーザーにとっては、ヒストリカル・ビークル・ライセンスがひとつの選択肢になるわけだ。
であれば、それこそJCCSに参加している旧車などは、みなこぞってヒストリカル・ビークル・ライセンスを付けていてもおかしくなさそうなものだが、そうはなっていないのは、やはり日常的に乗れなくなるのは困るという人の方が多数派だからなのだろう。そもそも税率もそこまで高くないので、よほどの高額車両でない限りは更新料も大きな負担とは感じないのかもしれない。
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