「僕はモラハラ夫」…本人が遂に悟るに至った経緯 「よかれ」と思って妻にしたことは暴力だった(前編)
――ご自身は、どんな経験をされたのでしょう。
結婚したのが7年前です。最初はよかったのですが、だんだんとストレスがあるときお酒を飲むことで自分の傷つきやしんどさをケアするようになり、酔って妻に暴言を吐くようになりました。妻が喋りたくなさそうにしていると、「なんでそんな態度なのか」と絡んだりして。
自分でアルコール依存のことを調べだしたのが、4年前です。でも、なかなかやめられなかったんですね。「お酒を飲まないようにしよう」と思っても、コンビニに行くと、店内をぐるぐると徘徊する怪しい男になってしまう。
「これを買えば、また暴力を振るってしまうかもしれない。でも飲みたい、苦しい。生きるのが恥ずかしい、死にたい」と思う。その葛藤に負けて帰ってくると、惨めなんです。「ああ、また俺はこうやって愚かにもアルコールを摂取してしまうのか」と。
そうすると、妻の目線が怖くなるんです。「またきっと傷つけてしまったんだろう、自分のことを愛していないと思っているんだろう。妻のことが好きで大切なのに、それでも飲んでしまう自分は、なんて弱い人間なんだろう」と思って、またお酒を飲んでしまう。
もしかしたら関わり方が間違っているのかもしれない
――そこからどうやって変わったんですか?
3年前の暮れに、大きな気付きがありました。その頃、僕は熱心に妻を「応援」していたんです。妻は学校の先生でしたが、クリエイティブな領域ですごい才能があって、でも本人はそれを大したことだと思っていない。僕はもともと事業開発などの仕事をしていたので、もっとその才能が活きる仕事をしたらいいのにと思い、勝手にサイトを立ち上げたり、SNSのアカウントを作ったりして、マーケティング支援をしていました。
結果も出るようになり、だんだん納期など勝手に設定するわけです。「いつまでに何個の○○を用意してほしい」「いつまでに次のアイデアを出して」とか。でも妻はもともとそれを生業にする気もなく、好きなわけでもない。僕だけが「ステージママ」のように勝手に盛り上がり、「なんでこれまだ終わっていないの?」「ご飯とか作ってる暇があるなら、こっちをやってほしい」と、彼女を追い詰めることが増えていきました。
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