ボディには、さらに大型の固定式リアウイングと「シャットオフ・ガーニー」とフェラーリが名付けた可動式の空力用フラップが備わる。
後者はF1で知られるガーニーフラップの“進化形”とされ、電動で開閉して後端の空気の流れをコントロールするもの。SF90ストラダーレで採用されたシステムを、新たに設計し直しているという。
固定式スポイラーについて、これまでフェラーリはあまり積極的な態度をとっていなかった。今回あえて採用に踏み切った理由について、「かつての『F40』や『F50』のようなアイコン的なモデルの象徴であり、顧客の要望に応えたものです」とマーケティング統括のエンリコ・ガリエラ氏は説明した。
「とにかくダウンフォースをかせぐことが、このクルマ(SF90 XX)をサーキットでも早く走らせるために重要だと考えました」とは、フルジェンツィ氏。はたして、「ダウンフォースはSF90 ストラダーレの20%増しです」という。
「エクストラブースト」でトルクを上乗せ
このクルマがサーキットを楽しめる「XX」の名にふさわしいと思わせる、もう1つの機構が「エクストラブースト」。サーキットで最大限のパフォーマンスを引き出すドライブモード「クオリファイング」を選ぶとスタンバイする。
システムはさらなるトルクを上乗せし、サーキットの出口でアクセルを全開にすると瞬間的にトルクアップ。ハンドルが直進位置にあるとか条件が設けられているようだが、バッテリーがフルだと30回使えるという。
その効果は、どれほどなのか。「ピスタ・ディ・フィオラノの周回でラップタイプをコンマ25秒縮める」と、開発ドライバーでありエンジニアでもあるラファエレ・デ・シモーネ氏は言っていた。
スポーツ走行のための電子制御技術も、多岐にわたる。ドライブモードで「レース」を選ぶと作動し、車両の動きを判断しながらブレーキ制御を行う「ABS EVO」が、「296GTB」に続いて採用された。「ドライな路面において最大限の性能を引き出す」というシステムだ。
X軸(ロール)、Y軸(ピッチ)、Z軸(ヨー)の3方向のクルマの動きをセンシングする「6W-CDS」の情報を、ABS EVOなどの制御システムがフルに活用する。
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