コメ兵の強みは、理屈ある「二番手商法」だ。批判的な意味で言っているのでは決してない。百貨店で動く商品は、かなりの確率で中古市場も盛り上がる。その意味で中古販売業は、ほぼ確実に未来を予想できる。実際にコメ兵でもブランドバッグなどの買い取りが増えたのは1990年代後半で、その時期は百貨店の各店舗へ有名ブランドショップが進出した時期と重なる。
拡大していくためには一次流通の本格復活が必要
リレーユースの本質は二次流通にある。一次流通がさかんになれば、二次流通はさらに発展していく。現在は、一次流通のすき間を狙って二次流通が堅調に推移しているものの、より拡大していくためには一次流通の本格復活が必要となる。
コメ兵の石原司郎・元社長は多くのインタビューで「かつて中古リサイクル業界はまだまだ信用されていなくて、『これ本物?』と聞かれて悔しい思いをしたことが何度も」あったと答えている(PHPビジネスレビュー2007年など)。まさに今はその本流たる一次流通と、二次流通が逆転している状況なのだ。
さらに追い風が後押しする。コメ兵はインバウンド消費の恩恵を受ける。コメ兵に立ち寄ったひとであれば、意外なほど外国人旅行者が多いと気づくだろう。現在、外国人旅行者のいわゆる“爆買い”が話題になっているものの、やはりその価格に躊躇する人たちも多い。百貨店に行ったあとに、コメ兵で買い物を楽しむ。
コメ兵の中古品と外国人は相性が良い。日本の中古品はキレイで状態にすぐれている。さらに円安も急激に進んだため、外国人旅行者からは、これまで以上にお買い得に映る。こうした運も重なって、コメ兵の販売は好調に推移している。
コメ兵の課題
最後にあえて課題を述べよう。
コメ兵は2014年5月、東京・渋谷にKOMEHYO渋谷公園通り店をオープンさせた。これまでの同社店舗とは趣を異にし、アパレルショップ風となっている。ここでは、ブランド装飾品のほかに、靴やコムデギャルソン等の衣料もそろえる。高額装飾品に比べて衣料などは粗利率を下げていく。しかし、若年層を取り込むために、同社は率を捨て、顧客層拡大の挑戦をしかけた。渋谷から新イメージの発信となるか。
同社の課題は、どうしても高額品から疎遠になりがちな若年層の取り込みにある。失礼を承知でいうならば、コメ兵は若者には入店ハードルが高いし、食指が動かない。さらに、これまた失礼ながら、中古品のイメージを覆すまでには至っていないように思う。
いっそうの拡大を期待するならば若年層の取り込みが必要だ。というのも、彼らこそ、近い将来に高額装飾品を買う世代になるのだし、そこが手付かずであればディスアドバンテージとなる。さらに中古品のイメージを、購入の選択肢とするイメージアップこそが、同社の創業理念にもかなうだろう。
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