新交通消え「桃花台ニュータウン」はどうなったか こまめに走るバス路線網が「鉄道不要」を証明?

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一方、かつての主力だったJR高蔵寺駅―桃花台センター間の73系統は現在、朝6・7時台こそ毎時3本が走るが、その後は毎時1本程度の運転。サブルートの感が強い。ニュータウンから駅までの所要時間では春日井へ出る場合とほぼ同等なのだが、運賃が440円と高く、名古屋市内方面へは高蔵寺経由だと、やや遠回りとなるためと思われる。

同じ名鉄バスで見逃してはならないのが「近距離高速バス」。名古屋駅前の名鉄バスセンターを起点に栄などを通り、自動車専用道路経由で近郊の住宅地との間を走る高速バスだ。そのうち名古屋・桃花台線が桃花台センター、桃花台東などニュータウン内の各所と名古屋市中心部を直結する。途中は小牧市役所前、小牧駅を経由。上末からはピーチバスとほぼ同じ経路をたどる。小牧市内のバス停相互間の利用も可能で、ピーチバスと補完しあう関係にある。

名鉄の近距離高速バス
名古屋と桃花台ニュータウンを直結する名鉄の近距離高速バス(筆者撮影)

名古屋中心部と直結するバス

名古屋・桃花台線は、平日朝の上り名古屋行きを6〜8時台に6本を運転。以後も上りは5本が設定されている。平日の下りは午後〜夜間を中心に14本が桃花台センターを通り、通勤需要に対応する。ピーチバスが夜の運行を終了した後の、小牧駅発23時台にも2本が設定されており、深夜バスの役割も兼ねる。

桃花台センター―名鉄バスセンター間は1時間10〜20分程度で、運賃は790円。鉄道利用ルートより所要時間面でも運賃面でも若干、不利ではあるが、自宅近くから名古屋市中心部まで乗り換えなしで行き来できるのは便利だ。実際に乗ってみても高齢者の利用が多く見られた。段差が大きいハイデッカー車の、バリアフリー化が今後、課題になってくるであろう。

同じ高速バスでも、ニュータウン内を通っている中央自動車道経由の長距離便のうち、桃花台東バス停近くの桃花台バスストップに停車する系統の一部(名古屋多治見線、名古屋飯田線など)は、空席があれば名古屋バスセンター―桃花台間のみの利用も可能だ。所要時間は約30分と速く、運賃も790円にそろえられている。ただ、自宅などから乗り場までの距離があると使いづらくはある。

中央道桃花台バスストップ
ニュータウン内にある中央道桃花台バスストップ(筆者撮影)
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