日産、社長に権限集中で急ぐ経営再建と独立確保 経営陣の不協和音はあったが総会に波乱なし

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また、経営陣の不協和音と企業統治の問題が報じられてもいた。内田社長とグプタ氏の不仲は有名で、日産の複数幹部がそのことを認めていた。社外取締役ながら執行の領域に関与する豊田氏と執行部の関係もギクシャクしていた。

例年なら3月初旬だった取締役人事の発表は5月12日。示された株主総会に附議する取締役候補者にグプタ氏と豊田氏の名前はなく、リリースに両者が退任するという記載もなかった。別途、同じ日に東京証券取引所への適時開示でグプタ氏の代表執行役からの退任が発表された。

2019年のCOO就任以来、グプタ氏は日産の顔として表舞台に立つことが多かった。写真は今年1月のオートサロン(記者撮影)

ルノー出身で、三菱自動車のCOOも務めたグプタ氏は、2019年12月末、内田氏の社長就任と同時にCOOに就任。執行側のナンバーツーとして事業構造改革計画「Nissan NEXT」をけん引してきた実力者だ。

しかし、代表執行役からの退任が発表された5月12日時点では、グプタ氏がCOOにとどまるのか、日産にとどまるのかも日産広報は答えることができなかった。結局、「新たなキャリアを追求するため」、グプタ氏が株主総会後に退社すると発表されたのは6月16日になってからだった。

退任の背景にグプタ氏に対する「コンプライアンス上の内部通報」があったことが明らかになっている。さらにこの問題に対して、会社の対応に対する内部告発も飛び出した。日産は「第三者機関を採用して事実の検証をし、適切に対応していく」(広報)とするが、経営の混乱ぶりは社外にまで聞こえていた。

COOは置かずに内田社長に権限集中

それでも、大きな混乱なく株主総会を終えることができた。総会後には新たな経営体制も発表され、執行側は2019年以来となるCOOを置かない体制となった。内田社長に権限をより集中させることで、意思決定を迅速化するという。

日産の経営課題は山積している。とくに急がれるのは、前述のルノーとのリバランスの最終契約の締結だ。合意の中にはルノーが設立するEV(電気自動車)の新会社アンペアに対し、日産が最大15%出資するという計画もある。日産としてのEV戦略を進めていくうえでもアンペアの位置づけをはっきりさせる必要がある。

2023年3月期は営業利益が約5割増となる3771億円と業績は大幅に改善した。売り上げに計上される卸売台数が増加したことや、円安にも助けられ1台当たりの平均単価が上昇したほか、半導体不足による自動車業界全体での供給難によってインセンティブ(販売奨励金)が低く抑えられたことなどが寄与した。

しかし、最終ユーザーへの小売り販売台数はグローバルで14.7%減の330万台。主力市場ではアメリカが14.5%減、中国が24.3%減と決して順調とはいえない。

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