【産業天気図・化学】ナフサ4.5万円以上への対応値上げが焦点。難航なら減産も視野
この8月末、総合化学最大手の三菱化学は原油価格の高騰に対応し、石油化学製品を平均で約30%値上げすると発表した。原油価格はニューヨーク先物市場で一時1バーレル70ドルを突破し、これに連動して石化原料の国産ナフサ価格も上昇。10月以降のナフサ国産基準価格はキロリットル当たり4万5000円を超える水準となる見通しである。
これまで石油化学業界では、ナフサについては3万5000円レベルまで値上げが浸透しているが、今後のナフサ価格とは1万円以上の差が生じてくることになる。三菱化学では、今期の国産ナフサ価格を3万8000円と想定してきたが、このままでは大幅な積み残しが出ることから、10月からの値上げを発表した。
これに続いて、三井化学、住友化学など他の大手各社も値上げを発表した。すでにポリエチレン、ポリプロピレン樹脂などは昨春以降5度、合成ゴム・エラストマーなどは3度の値上げを実施しており、ポリオレフィンは6度目の値上げになる。ただ、原油価格の動向が不透明なため、この価格は10~12月について、としている。住友化学では、この間のナフサ価格を4万6000~4万7000円と、かなりの高値を予想している。ただ加工メーカーは度重なる値上げで反発を強めており、値上げ交渉は難航する可能性がある。その場合、大手メーカーは減産を視野に入れている。この値上げの成否が今期業績に影響するのは間違いない。空模様は当面『晴れ』、来年は『晴れのち曇り』といえよう。
【宇田川日出雄記者】
(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部
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