月額3278円のライザップ「chocoZAP」安さの理由 「無人24時間営業」店舗数572店、会員数55万人に
作戦が功を奏し、前述のようにスタート1年で600店舗弱、55万人を集めてきた。さらに具体的には公表していないものの、継続率がよいという。
「フィットネス業界では新規加入者のうち56%が年内に退会するというデータがあるが、chocoZAPの場合はそれより低く、かなり満足いただけていると見ている」(鎌谷氏)
急成長の理由としてもう一つ挙げられるのが、自社による直営展開だ。フィットネス業界は飲食業界と同様、FC展開をしているブランドが多い。直営、FC、それぞれにメリットデメリットがあるが、chocoZAPでは店舗運営の機動性、収益性という見地から直営店方式を採用。
デメリットはランニングコストや撤退コストを自社で抱えなければならないことだが、内製化、機動性の向上でコストを抑えカバーするという。店舗スペースも、期間を定めずいつでも解約可能な条件で賃貸している。成績が悪い店舗についてはいつでも撤退できる。
自社運営で投資が大きくなる分、集客の状況などに合わせ小刻みに投資、抑制を行いリスクをコントロールしていく狙いだ。
RIZAPグループが5月15日に発表した2023年3月期の決算によると、売り上げは1605億1900万円と前期比0.3%の減。chocoZAPの収益が37億円程度に対し、他事業の撤退などによる減収が上回った。
またchocoZAPの事業に大きく投資しており、45億500万円の営業損失を計上、また2024年3月期も45億円の営業損失を見込む。2024年以降を利益成長フェーズと位置づけており、2026年3月期にchocoZAP2000店舗、営業利益300億円を目標としている。
今後の予定は?
今回、フィットネスジムとしてはかなり先鋭的な、chocoZAPのビジネスモデルを紹介してきた。しかし同社によると、chocoZAPは今後も変化の可能性が大きそうだ。鎌谷氏も、「chocoZAPのビジネスモデルはまだ進化していく」と説明する。
というのも、現時点でのchocoZAPの形に汎用性があり、さまざまなニーズに展開可能だからだ。鎌谷氏によると、過去30年でさまざまなサービスが利用可能となったコンビニエンスストアのように、ヘルスケアや美容関連を中心に多彩なサービスを加えていく予定だそうだ。
例えば出店場所も、観光地、空港、バスターミナルなどいろいろと考えられる。出張途中や飛行機の乗り換え時間に運動したいというニーズはありそうだ。また商店街の空き店舗、廃校や官公庁など、空きスペースをジムに活用することで、地域活性化も見込めるかもしれない。実際、官民連携のchocoZAPを31自治体でスタートさせている。
運動というと、経済的にも余裕があり、強い意思や目標意識がある人のみが継続できる習慣、趣味というイメージがあった。しかし「コンビニジム」というお手軽な響きのジムの台頭により、フィットネスのハードルが大きく下がったことは間違いない。
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