そしてその要因として考えられるのは、ほかの温熱療法と同様、サウナ浴における身体の温度調節メカニズムの過程で起こる「セロトニン分泌の活発化」だと言う。
セロトニンは「幸福ホルモン」としても知られる、良質な睡眠のために重要な神経伝達物質だ。
サウナ浴では、体温が急上昇するのに伴い、まずは覚醒をつかさどる「ノルアドレナリン」が多く放出される。だがそれに連動して、体温調整や興奮抑制のために「セロトニンの分泌」もさかんになる。
そして入浴後は、徐々に体温の低下や脳の冷却が起こるため、脳のノルアドレナリン量もはっきりと低下していく。
この「セロトニンの増加」と「ノルアドレナリンの降下」の両影響で、入浴後は入眠しやすくなり、眠りの深さも増加すると考えられるのだ。
サウナ浴は「入眠2時間前まで」に終える
率直に告白すると、かつて就寝前のサウナ浴を日課としていた筆者自身、「みんなが称賛するほど、サウナのあとにうまく寝付けない」という個人的な感覚を持ち続けていた。
確かにサウナ浴は、軽い運動後のような「心地よい疲労感」を与えてくれる。けれど、サウナに入った直後はまだ身体がポカポカしすぎて、脳も覚醒状態にあり、どうも入眠モードとはかけ離れている気がしていたのだ。
この個人的な感覚も、先に述べた「入眠効果のメカニズム」を正しく理解すれば、改善の余地がありそうだと気づいた。
「セロトニンの増加」と「ノルアドレナリンの降下」の影響が最も強く現れるのは、サウナ浴後2〜3時間後だという。
つまり、サウナ浴直後にすぐ布団に入るのではなく、入浴を終えてから2〜3時間後に就寝時間を設定すれば、最も入眠しやすくなるというわけだ。
また一般に「体の深部の温度が十分に下がると、眠りに落ちやすい」と言われる。
このことからも、サウナ浴のあとは、「クールダウン」によって身体を冷やすほうが、安眠を確保できる可能性が高くなるそうだ。
『究極の「サウナフルネス」世界最高の教科書』の著者カリタ・ハルユ氏も、同書の中で、冷浴(水風呂など)でサウナ浴を締めくくる入浴法を推奨している。
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