福島・飯舘村で「計画的避難」めぐり村民集会、自主避難した人への補償求める声相次ぐ
政府は4月11日、福島第一原子力発電所から半径20キロメートル以上の距離であっても、これまでに放射性物質の蓄積量が多い地域を「計画的避難区域」に設定する方針を表明。1カ月後をメドに「計画的避難」を実施してもらうことを、飯舘村や川俣町など該当する福島県内の市町村に伝えた。
これを受けて、福島県飯舘村では4月13~14日にかけて、村内4カ所で「行政区座談会」(村民集会、写真)を開催。参加した延べ2000人近い村民の間から政府や東京電力による補償や政府高官の村内への常駐などを求める声が相次いだ。
質疑応答に先立ち、菅野村長は5項目の実現を政府に要請していると発言。(1)政府による避難に関する費用の負担、(2)約2000頭にのぼる牛の取り扱いの明確化、(3)農作物の作付けをしないことへの補償、(4)国家プロジェクトでの土壌改良、(5)村への定期的な出入りの保障を求めているとした。菅野村長は「ハードルは決して低くないが、2~3カ月かけてでも解決策を見出したい」と粘り強い交渉を続けていくことを明らかにした。
村民からは「これまで自主避難した人は補償対象となるのか」「もし扱いが別になるなら不平等だ」などといった意見が続出。「経済的に困っている。休業補償をしてほしい」「いつになれば安全宣言が出るのか」といった声も上がった。
村民の不安や怒りは強く、交渉の過程で政府、東電が飯舘村の主張を値踏みするような姿勢を見せた場合、事態は混迷を深める可能性が高くなりそうだ。「村との合意」を重視する「計画的避難」の実現は一筋縄ではいかない恐れがある。
■写真:飯舘村の草野小学校で開催された村民集会(4月14日)
(岡田 広行 =東洋経済オンライン)
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