公取委が調査!東急への「大手損保カルテル行為」 損保4社がひた隠しにするもう一つの違反事案

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公取委によると、入札をやり直したことによって、カルテル行為など独占禁止法の「違反行為にかかる売り上げがないのであれば、課徴金がかからないことが想定できる」(公取委の小林渉事務総長)という。

東京海上日動が公表文書の中で「不当な保険料で引き受けに至ることはなかった」と何度も記しているのは、課徴金処分に至らない状態へ自浄作用を働かせることができたとアピールしたかったからだろう。

そうして東京海上日動など4社は事態の鎮静化を図ろうとした。

だが、公取委は厳しい姿勢を変えず、調査に乗り出すことになった。なぜか。

それは課徴金処分の対象となり得るカルテル行為がほかにも存在している疑いがあるからだ。

損保ジャパンが幹事の取り引きに疑い

その取引とは、東急グループ向けの賠償責任保険だ。自社の施設や工事などで事故が発生した場合にその損害賠償費用を補償する仕組みの保険で、幹事会社は損保ジャパンが務めている。

公取委など複数の関係者によると、その取引においても保険料の提示水準を4社で調整したような形跡があるにもかかわらず、東急側は疑念を持たず、契約に至ってしまっているという。

そうであれば、独禁法の違反行為による売り上げとして課徴金処分の対象となる。

さらに言えば、幹事会社が変わっても同様に価格カルテルが結ばれているのであれば、もはや個社の一社員が引き起こした特異な事例として片付けるのは無理がある。企業向けの共同保険分野で、違反行為が広くまん延している可能性があるのだ。

損保業界に広がる底知れぬ闇にどこまで迫れるか。公取委、金融庁ともに緊張感が足元で一気に高まっている。

中村 正毅 東洋経済 記者

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なかむら まさき / Masaki Nakamura

これまで雑貨メーカー、ネット通販、ネット広告、自動車部品、地銀、第二地銀、協同組織金融機関、メガバンク、政府系金融機関、財務省、総務省、民生電機、生命保険、損害保険などを取材してきた。趣味はマラソンと読書。

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