損保ジャパン「ベア見送り」に渦巻く不満のマグマ 東京海上など大手3社はベア3%実施の見通し
賃上げの動きに注目が集まる中、大手損害保険会社4社のうち損害保険ジャパンだけが基本給を底上げするベースアップ(ベア)を見送る方針であることがわかった。
東京海上日動火災保険、損保ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損保の各労働組合は2023年3月、足並みをそろえるようなかたちでベア3%の実施を経営サイドに要求していた。
ベアの要求は各社とも6~8年ぶり。民間企業における構造的な賃上げの実現を「最重要課題」(岸田文雄首相)に位置付ける政府の後押しもあって、東京海上と三井住友海上、あいおいの3社はベア3%で労使が大筋合意した。
損保ジャパンはベアなし、一時金5万~20万円
しかし、損保ジャパンの経営陣は基幹職員(アソシエイト職などを除く)におけるベアを回避。一方で、ベアゼロが実質的な賃金の低下に直結しないよう、各社員の役割グレードに応じて5万~20万円の一時金を支給して対応する方針だ。
損保ジャパンはベアを見送った理由の一つとして、自然災害の激甚化など事業環境見通しの不透明さや厳しさを挙げている。ただ、置かれた環境はほかの大手損保も同じはずで、損保ジャパンだけが保険金支払いといった費用の増大にことさら苦しんでいるわけではない。
さらに言えば、2024年3月期の連結業績で大手損保グループは軒並み過去最高益を予想している。
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