損保ジャパン「ベア見送り」に渦巻く不満のマグマ 東京海上など大手3社はベア3%実施の見通し

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それでも損保ジャパンがベアを見送ったのは、人件費などの事業費率が相対的に高止まりするなか、中長期的な展望に立った対応をしたのかもしれない。であれば、グループの経営陣は報酬削減など自らを律する対策を講じておかしくないが、現時点ではそうした様子は見えてこない。

SOMPOホールディングスの有価証券報告書によると、櫻田謙悟グループCEOが受け取った役員報酬(2021年度)は、4億3200万円(写真参照)。その内訳は、固定報酬が1億3300万円、業績連動報酬が金銭と株式を合わせて2億9900万円となっている。

最上列に記載された櫻田氏の報酬は4億3200万円(2021年度のSOMPOホールディングスの有価証券報告書より)

東京海上など大手他社のグループトップと比べ2億円以上も多い金額だ。また、櫻田氏のこれまでの報酬は2015年度1億0400万円、2016年度1億2200万円、2017年度2億4800万円、2018年度2億4800万円(2017年度と同額)、2019年度3億2600万円、2020年度4億円と右肩上がりが続いている(いずれも有価証券報告書に記載)。

「筋が通っているのか」と社内から不満の声

これまでの業績拡大への貢献度が評価された結果なのかもしれないが、損保ジャパンの社内からは「業績連動部分で自らの報酬を億円単位で増やしておきながら、中核会社(損保ジャパン)のベアについては事業見通しが不透明だからと見送るというのは、本当に筋が通っているのだろうか」という不満の声が漏れる。

大手損保で唯一ベアを見送りながら、経営陣の懐は大して痛まないというのであれば、社員の士気低下は避けられそうにない。

中村 正毅 東洋経済 記者

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なかむら まさき / Masaki Nakamura

これまで雑貨メーカー、ネット通販、ネット広告、自動車部品、地銀、第二地銀、協同組織金融機関、メガバンク、政府系金融機関、財務省、総務省、民生電機、生命保険、損害保険などを取材してきた。趣味はマラソンと読書。

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