特に長期投資用の商品や戦略に適用される規制は、直接的な影響を与えるものと分類できる。投資家やそのカウンターパート、競争力のある商品、市場の補足部分に適用される規制については、間接的に影響を与えるものと言えるだろう。
規制の枠組みがよく出来ていれば、長期投資に対するプラスの影響を最大化しつつ、マイナスの影響を最小限に抑えることができる。新たな規制は次々に導入されているが、これらが実際必要なのかどうかを慎重に分析することが大切だ。そのうえで、こうした規制が必要と考えるのなら、規制の隙間を見越し、貯蓄の新規や既存のプロジェクトへのフローをスムーズにするような規定でこれを埋めるようにすることだ。
すべての規制の”成果”を監視すべきだ
たとえば、カバードボンド、グリーンボンド、不動産信託を通じた越境投資に関する規制を標準化すれば、長期投資を促進できるかもしれない。間接的には、長期投資にふさわしいプロジェクトの利用を拡大し、地元の破産、倒産に関わる機関とうまく連携できるような、一般的な規制による後押しがあれば、それもプラスの効果をもたらすかもしれない。
一方、直接的にマイナスの影響を与える規制の代表は、資産ベースの資本賦課に関する現行規定および規定案などである。そういった規制が長期投資に与える間接的なマイナス効果は、その性質から目に見えにくいものだが、特に規制が投資家にとって長期投資用の資金の減少につながる場合など、直接的な影響と同じくらい有害な場合もある。デリバティブ取引に係る証拠金規制や銀行コストを上昇させる規制は、そういった影響を与えるのだ。
このような種類の間接的なマイナス効果は、長期投資の促進に関する政策討議では重要視されていないが、慎重に検討されるべきだろう。これらの規制が資本配分に及ぼす影響の範囲と規模を見極めることが重要である。そうしなければ、投資によって強化される改革のプラス効果を相殺してしまう危険性がある。
立法、規制当局が絶え間なく投資環境を形作っている中で、追加規制や新規規制が導入されるたびに、それらの規制一つひとつの影響を監視し、評価することが大切なだけでなく、こうした影響についても広く認識を広げる必要がある。不必要に幅広い規制は避けて、市場参加者の多様性に合わせて作られた規制を優先すべきだ。
年金基金のような長期投資家が、欧州経済の切望する資本を提供できるようにすれば、より広い範囲の国にポジティブな影響をもたらす可能性がある。しかし、正しい規制環境が作られなければ、また作られるまで、それは不可能なのである。
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