中国アリババ「創業メンバー2人」がトップ就任へ 現会長兼CEOの張氏は退き、クラウド事業に専念

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アリババ会長兼CEOの張勇氏は、2019年から4年にわたり経営の舵取りを担った(写真はアリババのウェブサイトより)

中国のEC(電子商取引)最大手の阿里巴巴集団(アリババ)は6月20日、董事会主席兼CEO(会長兼最高経営責任者)を務める張勇(ダニエル・チャン)氏が9月10日付で退任すると発表した。

同社は3月28日、傘下のビジネスを6つの事業グループに分割し、それぞれに高い独立性を与える組織再編を発表。張氏は、それらを束ねるグループ持ち株会社のトップに就くとともに、事業グループの1つである「クラウド・インテリジェンス・グループ」の董事長兼CEOを兼務していた。

張氏は持ち株会社の董事会主席とCEOを退き、クラウド事業の経営に専念する。後任の董事会主席には現副主席の蔡崇信(ジョセフ・ツァイ)氏が、CEOには国内EC事業の「淘宝天猫(タオバオ・Tモール)コマース・グループ」を率いる呉泳銘(エディー・ウー)氏が就任する。

蔡氏は「十八羅漢」と呼ばれるアリババ創業期からの中核メンバーの1人で、創業者の馬雲(ジャック・マー)氏に次ぐ実質的なナンバーツーだ。1999年から2013年まで同社のCFO(最高財務責任者)を務め、2014年のニューヨーク上場を成功に導いた。

近年、蔡氏が表舞台に出る機会は少なくなっていた。ところが5月18日、6つの事業グループの経営幹部の顔ぶれが発表された際に、蔡氏が物流事業の「菜鳥(ツァイニャオ)スマート・ロジスティクス・グループ」の董事長(会長)に就任したことが明らかになった。

複数の元経営幹部が復帰

グループCEOに就任する呉氏も十八羅漢の1人だ。最新テクノロジーへの造詣が深く、アリババの祖業であるB2B(企業間電子商取引)、個人向けネット通販の淘宝(タオバオ)、オンライン決済の支付宝(アリペイ)などの基幹事業でCTO(最高技術責任者)を歴任した。

その後、呉氏は2015年にアリババを退社し、ベンチャーキャピタルの元璟資本(ビジョン・プラス・キャピタル)を創業した。そして、今回の組織再編とともにアリババに復帰し、淘宝天猫グループの董事長に就任した。

一方、退任する張氏はアリババのトップに2019年9月に就任。グループの舵取りを4年にわたり担ってきた。だが組織再編の発表後、張氏の存在感は徐々に薄れつつあった。6つの事業グループのなかで、張氏はクラウド事業の董事長兼CEOを務めるものの、その他の5グループの董事会(取締役会)メンバーには入っていない。

本記事は「財新」の提供記事です

さらに、張氏がアリババを率いていた期間に同社を退社したり、第一線を退いたりしていた複数の元経営幹部が、各事業グループの取締役として舞い戻った。そのなかには蔡氏と呉氏のほか、フィンテックの螞蟻金服(アント・フィナンシャル)の初代トップを務めた彭蕾氏や、クラウド事業の立ち上げを指揮した王堅氏などが含まれる。

(財新記者:顧昭瑋、包雲紅)
※原文の配信は6月20日

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