セメント各社の値上げ計画が進まない事情 顧客のゼネコンが置かれた複雑な状況

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一つには、生コン業界の懐具合の厳しさがある。生コンの原料である砂利などの骨材は、人手と運搬車の不足を背景として、「物はあれど運べない」状況。生コン製造には安定した骨材調達が不可欠なだけに、2013年度から2年連続で生コン業界は骨材値上げを受け入れてきた。だが、新年度に入り、さらなる値上げ圧力が増すばかりだという。

セメント値上げの理由は希薄

一見、好況に沸くゼネコンも、人手が足らず、窮余の一策としての選別受注が奏功している面が強い。人手不足で工期延長などの弊害も出始めており、業績拡大に一服感が見える。そもそもゼネコンの請負は契約時価格なので、工期途中での原材料値上げは、事業採算を当初見込みから悪化させる。3年連続で生コン値上げを受け入れてきたゼネコンも、余裕は乏しい。

「生コンメーカーは、不足ぎみである骨材の値上げを先に受け入れざるをえない。そうなるとセメントの値上げ余地は限られる」と、一般財団法人・経済調査会土木第一部の杉山勉部長は分析する。

石炭の国際価格が軟調に推移する今、値上げの理由は希薄だ。値上げ要請がすんなり通ることはなさそうだ。

「週刊東洋経済」2015年5月2-9日号<4月27日発売>「価格を読む」を転載)

筑紫 祐二 東洋経済 記者

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ちくし ゆうじ / Yuji Chikushi

住宅建設、セメント、ノンバンクなどを担当。「そのハラル大丈夫?」(週刊東洋経済eビジネス新書No.92)を執筆。

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