iPhoneの「アプリストア開放」に残る大きな疑問 政府が義務化方針、競争と安全は両立できるか

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報告書では、アプリストアの審査においてセキュリティや品質を高く維持するためのガイドラインの設定事例などが示されているものの、実際のアプリストア運営をどう管理していくのか、具体的な法整備や運用の枠組みについては言及がない。

” 開放せよ”と強制しようとしている一方、”開放後の治安維持”については、アプリストア運営者自身の自主性、技術力に委ねられているのだ。

アップルはiPhone市場の活性化、製品エコシステムの一部としてApp Storeに投資をしているが、いったい誰が同様の品質でアプリ流通を支えるというのだろう。

アプリ経済圏の発展に必要なこと

スマホが生活に必須の道具となっている現状、その上で動くアプリは新たな製品やサービスを生み出す基盤にもなっている。そうしたイノベーションが、アップルとグーグルの独占的な影響力で阻害されるべきではない、という議論の趣旨には賛同する。

しかしマルウェアに対して”無菌状態”ともいえるiPhoneに対し、サードパーティへのアプリストア開放を義務づけ、仮にかつてのような“ジェイルブレイク”(iOSのセキュリティを突破して、自由にコンピュータとして動かす改造行為)が発生したとしたら、被害拡大は免れることができない。

アプリ経済圏をより健全な競争環境に置きたいのであれば、まず取り組むべきは”透明性”の確保だ。

たとえばアプリ審査。「通過しなかった理由」を開発事業者側に通知すると、抜け道を模索することにつながるという指摘もあるが、より納得感のある説明や、通過のためのヒントを与えるなど、現在のAI技術などを背景に審査システムの見直しはできるのではないか。

あるいは同様の技術を基に、審査申請前に事前チェックを行うためのツールを充実させるといったアイデアもあるだろう。

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