「自ら学び直し」が出世・昇給に必須の時代が来る 骨太の方針に盛り込まれた学び直し政策の中身
「希望する個人が、自ら働き方を選択でき、昇給、転職を通じて、主体的な学びが報われる社会を作っていく」
6月16日、首相官邸では経済財政諮問会議・新しい資本主義実現会議合同会議が開催された。この会合では、今後の政府予算案や法案のベースとなる、いわゆる「骨太の方針」と呼ばれる「経済財政運営と改革の基本方針2023」が取りまとめられた。冒頭は、その会議の席上で岸田文雄首相が発した言葉だ。
三位一体の労働市場改革
骨太の方針では、人への投資や構造的賃上げといった労働市場改革が目玉のひとつになっている。とくに、個人の学び直しについては、2022年10月の臨時国会で、岸田首相が所信表明演説で「個人のリスキリングに対する公的支援は、5年間で1兆円のパッケージに拡充する」と表明したとおり、最優先の項目に掲げられている。
その「リスキリング」というワード。本来は企業が、新しい職場に配置転換する際に、従業員に必要なスキル(技能)を習得させ、成長分野に人材を投入しやすくするために使われる言葉だ。
ただ政府は「個人のリスキリング」「個人の学び直し」というように「個人」という言葉にこだわる。それは、政府が「自らの学び」に重きを置くことで、人材の流動性や賃金の拡大を目指したいという目論見があるからだ。
それが鮮明に打ち出されているのが、5月16日の新しい資本主義実現会議の場でまとめられた、「三位一体の労働市場改革の指針」だ。
「三位一体の労働市場改革」とは、① 「リスキリングによる能力向上支援」 ②「 個々の企業の実態に応じた職務給の導入」 ③「 成長分野への労働移動の円滑化」を同時に進めて行くことで、構造的な賃金上昇や賃金格差の縮小を目指す取り組みだ。
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