こうした人工的に開発された食材はコーヒーだけではない。ここでは人工肉、植物性フォアグラ、コオロギを使った事例を紹介したい。
まずは人工肉。大豆から肉を再現する大豆ミートや、牛や豚の細胞から培養して作る培養肉をご存じの読者もいるだろう。
しかし現在は、一歩も二歩もテクノロジーが進んでいる。例えば、ジャックフルーツだ。シンガポールのKARANAは、大部分が廃棄されているジャックフルーツを使って植物性代替肉を開発した。このテクノロジーを使えば、ジャックフルーツで肉に近い食感を作り出すことができる。
また、食物繊維を豊富に含み、低脂質、コレステロールはゼロ。そして、PFCバランスも良いとメリットがたくさんある。ジャックフルーツは干ばつや害虫に強いので、農薬や除草剤も必要なく、どこでも生えるなどの特徴があるのだ。
魚類の人工肉を作る動きもある。イスラエルのForsea Foodsは、オルガノイド技術という特許技術で細胞培養することで、ウナギの培養肉を開発することに成功している。
植物からフォアグラが作れる?
また、植物性フォアグラもある。日本のDr.Foodsは、カシューナッツを麹で培養させて植物性フォアグラを作れるテクノロジーを開発している。高級食材のフォアグラを低価格で提供できる期待が膨らむ。欧州では、ガチョウやアヒルに強制的に給餌することに対して動物愛護、保護の観点から禁止の動きが進んでおり、その問題にも対応している。
もう一つ紹介したい。
日本のフエゴインターナショナルは、コオロギを使った肉様組織化に成功している。煎餅やクッキー、うどんやラーメンなどコオロギを使ったさまざまな食品が販売されているが、価格帯や加工技術がネックでなかなか購買に進まないという課題がある。また、これまでのコオロギなどの昆虫食は、乾燥粉末の状態への加工から大きく抜け出せていないという課題もある。これを脱却できる素晴らしいテクノロジーなのだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら