食糧難が心配な人に知ってほしい代替食品の進化 コーヒー豆を使わないコーヒー、人工肉の凄み

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人工肉はすでに多く使用されている(写真:karins/PIXTA)
着るだけで空を飛べる「ジェットスーツ」。危険から身を守ってくれる「バリア」、人に代わって働いてくれる「家事/育児ロボット」――。
私たちの日常にはまだ浸透していないが、SF小説や映画などで描かれてきたテクノロジーの多くが現実のものになりつつあることをご存じだろうか。元JAXAの工学博士で、宇宙ビジネスコンサルタントでもある齊田興哉さんが最新テクノロジーとビジネスの動向をまとめた『空想が実現する時代のビジネス地図』より、一部抜粋、再構成してお届けする。

コーヒー、肉……すでに実現している代替食品

海外ドラマ『バイオハッカーズ』は、医学部生の家族に起きた悲劇の真相を解明するため、関与の疑いがある最先端の生物学を研究する教授に接近し、真実を突き止めていくドラマだ。このドラマでは、「きのこを使わないきのこ味のパスタ」が作られるシーンがある。実はこのテクノロジーは、未来において大いに期待できる。

例えば、コーヒー豆を使わないコーヒーがある。アメリカのAtomoという企業が開発したもので、すでに販売されている。なぜAtomoはこのようなコーヒーを開発したのだろうか。

その背景には、「2050年コーヒー問題」がある。地球温暖化の影響でコーヒーの木が枯れる危機が予想されていて、2050年にはコーヒー豆の生産量が現在の半分になるというのだ。ほかにもコーヒー農場の多く(私たちが飲むコーヒーの半分以上)が森林破壊された農地から開墾されていたり、CO2を多く排出する農作物として、カカオに次ぐ2位となっていたりする事実もある。

Atomoのコーヒーは、廃棄された植物を使ってコーヒーの分子配列を再現し、人工のコーヒー豆を作ることで実現している。香り、ボディ、色、味、カフェインという5つの要素もうまく再現している。従来のコーヒーと比較するとAtomoは93%もCO2排出量が少なく、94%も使用する水の量を減らせる。

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