50歳前後、苦境に立たされる「団塊ジュニア」の苦悩 人口ボリュームの多い彼らが立たされた岐路

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昨年、大学の同級生260人が集まる大同窓会に出た筆者は、少なからず衝撃を受けた。卒業から25年以上が経過し、私も含め全員がアラフィフの中年となり、それぞれの“事情”を抱えていたからだ。

50歳ともなれば、大手企業・団体内での出世競争を巡る勝敗は、ほぼほぼ決着している。出世街道を突き進む人もいれば、出世とはまた異なる生き方に自らの意義を見いだす人もいる。

久々に会った友人たちからは、年下上司との関係性を巡る悩みや、育児と介護のダブル生活への疲弊、転職したくても「嫁ブロック」で許されない声などが聞かれた。どれも身につまされる内容ばかりだった。

管理職レールに乗れず、忸怩たる思いを抱いている人。将来への漠然とした不安が頭をもたげながらも、日々の仕事に追われ、心身ともに疲労・疲弊にあえぐ人。かたや、会社と自宅の往復だけにとどまらず、自ら開拓したサードプレイスや大学院などでの学び直し、趣味を通じ、交流や見聞を広める人。コロナ禍で本格化したリモート勤務時代に即応し、地方に移住したり、2拠点生活を送ったりする人。実にさまざまな人生がそこにはあった。

団塊ジュニア世代の問題は、社会全体の課題

バブル崩壊後、経済の低迷や景気の横ばいが続く日本に高く立ちはだかる「失われた30年」と、実社会に出た団塊ジュニアが生き抜いてきた年数は、ほぼ相似する。徐々に近づく定年を見据えながら、同世代の中でも価値観やライフスタイルは大きく異なっている。

そんな彼ら、彼女らは今、どこで何をして、何を考えているのか。これまでの半生をどのように振り返り、この先の人生をいかに歩んでいこうとしているのか。

日本総研の下田裕介氏によるレポート「団塊ジュニア世代の実情」によれば、2030年代後半以後、高齢化した団塊ジュニア世代のうち、実に41万人が老後貧困に陥るとされる。レポートでは、団塊ジュニアを「不遇の世代」と位置づけたうえで、次なる不遇の世代を再生産しないためにも、団塊ジュニア世代が抱える問題を社会全体の課題であると捉えて、将来世代を見据えた多角的で複層的な政策推進が求められると指摘する。

さらに、その数年後には何が起きるか。参議院事務局作成の「団塊ジュニアとポスト団塊ジュニアの実像」は、団塊ジュニア世代が65歳以上となる2040年以後、高齢者人口がピークを迎える反面、現役世代にあたる生産年齢人口が急減することで、医療や年金などの社会保障費の支出が困難になると指摘。高齢者となった団塊ジュニア世代が十分な保障を受けられなくなる「2040年問題」の重大さを強調している。

定年や老後を見据え、いずれは支えてきた側から、支えられる側に立場を置き換えることになる団塊ジュニア世代。その生き方は、下の世代にも間違いなく影響を与えることになるだろう。そんな彼、彼女らに取材し、その「現在地」について次回以降お伝えしていく。

本連載、『団塊ジュニアたちの「岐路」』では、自らの経験について、お話いただける「1971(昭和46)年~1974(昭和49)年に生まれた方」を募集しております。取材に伺い、詳しくお聞きします。こちらのフォームよりご記入ください。
小西 一禎 ジャーナリスト

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こにし・かずよし / Kazuyoshi Konishi

1972年生まれ。慶應義塾大卒業後、共同通信社入社。2005年より政治部で首相官邸や自民党、外務省など担当。2017年、妻の米国赴任に伴い会社の休職制度を男性で初取得、妻・二児と渡米。2020年、休職期間満期で退社。コロンビア大東アジア研究所客員研究員を歴任。駐在員の夫「駐夫」として多数の寄稿。「世界に広がる駐夫・主夫友の会」代表。著書に『猪木道~政治家・アントニオ猪木 未来に伝える闘魂の全真実~』『妻に稼がれる夫のジレンマ』など。専門はキャリア形成やジェンダー、海外生活・育児、政治等。

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