50歳前後、苦境に立たされる「団塊ジュニア」の苦悩 人口ボリュームの多い彼らが立たされた岐路

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景気動向と連動する有効求人倍率の推移を見ると、バブル期の1990年、1991年はいずれも1.40倍だったのに対し、翌1992年は1.08倍まで落ち込み、団塊ジュニア世代が社会に出始めた1993年には0.76倍と1倍を割り込んだ。その後、0.64倍(1994年)、0.63倍(1995年)、0.70倍(1996年)と低水準が続き、極めて厳しい就職状況だったことが数字からもうかがえる。

下にはポスト団塊ジュニア世代、プレッシャー世代、ゆとり世代、Z世代など個性豊かな世代が控える。そうした中にあって、団塊ジュニアは「置き去りの世代」「忘れられた世代」の様相を濃くしている。

そして今、彼らは50代に差し掛かり、新卒から四半世紀にわたり勤め続けた会社からは早期退職者募集のターゲット世代とされ始めている。

就職氷河期のあおりを受け、非正規雇用で就労せざるを得なかった人は低収入にあえぎ、結婚もままならなかった人も目立つ。

中学生、高校生、大学生へと子どもが成長していく傍ら、高齢化する親の介護に同時に直面しながら、自らも次第に歳を重ねていく。

厚生労働省の「平成23年版労働経済の分析」は、バブル世代に比べ、団塊ジュニア世代の就職時は失業率、非正規雇用比率のいずれも高かったと推計。内閣府の男女共同参画白書(令和4年版)によると、非正規雇用労働者比率はバブル期の1989年は19.1%、1994年が20.3%だったのに対し、1999年には24.9%に急上昇している。

世界でも例がないスピードで少子高齢化が一段と進行する中、巨大な人口の塊の1人である自らが高齢者になったとき、経済縮小が続く日本社会は、老後の自分を支えてくれるのか。社会保障費を増大させ、後に続く世代の重荷になってしまわないだろうか。そんな不安が、彼らの肩に重くのしかかる。

団塊ジュニア世代、有名人でいくと…

ここで、具体的にイメージができない人のために、団塊ジュニア世代とはどんな人たちなのかを、有名人などをあげながら紹介してみたい。

1971年生まれでは、タレントの有田哲平氏、フリーアナウンサーの羽鳥慎一氏、作家の伊坂幸太郎氏、俳優の西島秀俊氏、1972年には、元SMAPの木村拓哉、中居正広両氏のほか、プロ野球監督の新庄剛志氏、元横綱の貴乃花光司氏らがいる。

翌1973年生まれとして、元メジャーリーガーのイチロー氏、実業家の藤田晋氏、俳優の大泉洋氏、歌手のGACKT氏、1974年には、元メジャーリーガーの松井秀喜氏、元SMAPの草彅剛氏、五輪金メダリストの室伏広治氏、立憲民主党代表の泉健太氏らが含まれる。

筆者も、1972年8月生まれの団塊ジュニア世代の当事者だ。現在50歳。就職活動をしていた1995年の年明けには、阪神・淡路大震災が起こり、地下鉄サリン事件に始まった一連のオウム真理教事件で社会不安が広がっていた。アメリカから上陸したばかりのインターネットは黎明期だった。携帯電話は高価で庶民には手が届かず、安価なPHSが一気に普及した。外資系企業を受ける友人が脚光を浴び始めるようになった。爆発的に売れたウィンドウズ95が発売されたのも、この年だ。

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