両者がきっちり連動しているわけではないが、生産量が増えるにつれて、世界経済は年々より多くのエネルギーと資源を消費し、大量の廃棄物を生み出してきた。
現在では、科学者が「プラネタリー・バウンダリー」〔地球の限界──地球上で人間が安全に生存できる限界〕として定量化した限界を大幅に超え、生物界に破壊的な影響を及ぼしている。
不平等がもたらす危機
もっとも、人新世という言葉の意味とは裏腹に、生態系の危機は「全人類」によって引き起こされているわけではない。これは重要なポイントだ。
低所得国(実質、グローバル・サウスのほとんどの国)は、自国に課されたプラネタリー・バウンダリーをまだ超えていない。実のところ、そうした国の多くは、国民のニーズを満たすためにエネルギーと資源の消費を増やす必要がある。
問題を引き起こしているのは高所得国で、そこでは成長が「必要」という概念から完全に遊離し、人間が繁栄するために必要な量をはるかに超える成長が長く続いている。
地球規模の生態系崩壊のほぼすべての原因は、高所得国の過剰な成長、とりわけ超富裕層による過剰な蓄財にあり、グローバル・サウスと貧困層は不当に傷つけられている。
結局のところ、これは不平等がもたらす危機なのだ。
(翻訳:野中香方子)
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