産業の生産と消費は増え続け、国内総生産(GDP)という単位で計測される。
成長は資本主義の最優先命令だ。資本主義における生産の増大が目的とするのは、人間のニーズを満たすことでも、社会を向上させることでもなく、利益を引き出し蓄積することだ。それが何より重要な目的なのだ。
このシステムは一種の全体主義的論理の上に成り立っている。その論理とは、すべての産業、すべての部門、すべての国の経済は、終着点がないままつねに成長し続けなければならない、というものだ。
この意味を理解するのは難しいかもしれない。「成長」という概念はとても自然に思えるので、わたしたちは当たり前と見なしがちだ。
成長は自然な現象であり、あらゆる生物は成長する。しかし自然界の成長には限界があり、生物はあるところまで成長すると、健全な均衡状態を維持する。
成長が止まらないのは、言うなればコーディング・エラーで、がんなどで起きる。細胞が成長そのものを目的として複製し続け、やがて死をもたらすのだ。
世界経済が23年ごとに倍の規模に
資本主義のもとでは、世界のGDPは毎年少なくとも2%から3%成長し続けなければならない。
大企業が総収益を維持するには、どうしてもそれだけの成長が必要とされる。2%から3%の成長はわずかに思えるかもしれないが、これが指数関数的な成長で、グラフは急カーブを描いて上昇することを忘れてはならない。
3%の成長は、世界経済が23年ごとに倍の規模になることを意味し、倍増した経済は再び倍になり、それが何度も繰り返される。
もしGDPがどこからともなく生まれるのであれば問題はない。だが、そうではない。GDPは、エネルギーおよび資源の消費と連動しており、この連動は資本主義の歴史を通じて続いてきた。
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