日経平均株価、大台3万円超えの先の先を読む 続伸か暴落か、ストラテジスト2人が大胆予想
年末に3万6000円へ リスクは割高な米株の調整
日本株が急伸した背景としてはさまざまな要因を指摘できるが、まずは基本的なことを確認したい。ファイナンス理論によれば、株式に限らずすべての証券の理論価格は将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いたものとして表される。キャッシュフローを左右するのは企業の業績で、割引率は長期金利だ。つまり、株価は企業業績を金利で割り引いたものだといえる。代表的な数式として「P=E÷r」が挙げられる。Pは株価、Eは企業業績、rは割引率(金利)を表す。
まず分母の割引率(金利)を左右する日本の金融政策について、植田・日銀の新体制になっても金融緩和が継続する見通しである。少なくとも向こう1年程度は金利が大幅に上がる可能性はそうとう低いといえる。
次に分子のEだ。今年度の上場企業の業績は増益となり、3期連続で最高益を更新する見通しだ。その牽引役が自動車産業だ。トヨタ自動車はグループ世界販売が1138万台と過去最高となり、営業利益で初の3兆円を目指す。部品メーカーにも好影響を与え、デンソーは6年ぶりの最高益になる予想。こうなると円安も業績の追い風だ。企業の想定為替レートは1㌦=130円程度。実勢に照らせば業績は上振れる可能性が高い。
このように企業業績は最高益で、それを割り引く金利が当面上がらないとなれば、「業績÷金利」で表される株価が上昇しないわけがない。日経平均株価のバブル後高値更新は当然の帰結である。
こうしたファンダメンタルズのよさに加え、需給やマクロ、政治の安定性などの要因が指摘できる。