女性と男性「家事能力の差」生まれる社会的な背景 「家事マウンティング」では状況は改善しない
以前、育児の取材をしたことがあるのですが、その時に小さなお子さんがいらっしゃる女性が指摘していたのが、父親教室が少なすぎるということ。自治体の母親教室は毎月のようにあって、妊娠期間中にずいぶん知識がつくんですって。ところが、父親、両親教室が1回しかないうえ、おむつの交換など1、2つ教わって、妊婦体験しましょう、という内容で、彼女が言うには、「夫は何か1つアイテムが増えたぐらいの感覚でした」と。
昔のように周りに子どもがいっぱいいる環境ではなくなっているので、何も知らないで育児を始めなければならない。そのときに父親になる教育が受けられない、という問題は大きい。だから男性たちが家事に対して意識が低いのは、経験する場もないだけじゃなくて、教わる場もない、ということもありますよね。
誰もが長時間労働しないと成り立たない社会
――夫婦両方が1日8時間とか働いている中で子育ても、となると、昭和のような家事はもうなかなかできないですよね。
阿古:そう、できない。できないのに「お母さんがやっていたからって自分も」って女性たちは思ってしまっている。お母さんは働いていましたかっていう話なんですよ。だから、お母さん働いていた人のほうが、その辺はうまく分けられる。でもお母さんが主婦だった人の場合は、お母さんが1日家にいたことを忘れて、私はお母さんのようにできないって思っちゃう。
前島:結局、誰もが長時間労働しないと成り立たない社会になってしまっている。男性は働かないといけないし、休みもとりづらいので、家庭のことは誰かがやってくれないと困る。それなのに、家庭のことを誰かに任せるのは罪悪感がある。
ここについては、個人のマインドよりも、構造的な問題があると思うのでそこを取り払いたい。生産性は高いほうがいいよね、家庭でより多くの時間を過ごせるほうがいいよね、外注できることはしたほうが皆楽だよね、と、男性、女性というよりは、双方にとって、社会にとってメリットがある打ち出し方をして変えていきたいと思います。
阿古:男性が家庭進出していることのよさというのは、「こんなに残業できないでしょう」ということに気づくというところなんです。そうすると、男性のトップたちも、女性がいくら言っても聞いてこなかったけど、男性の後輩が言ったら、「変えなきゃ」っていうふうになっていくはずです。
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