女性と男性「家事能力の差」生まれる社会的な背景 「家事マウンティング」では状況は改善しない
前島:その点、当社、そして僕が外部向けに発信するメッセージも気を付けています。3、40代の男性ってマインドは変わってきているけど、スキルがたぶん追いついてない。料理って一定、やっぱり幼少期、10代ぐらいまでに家庭でやっていないと感覚もないし、包丁もおぼつかないし、むしろ危ない。やりたい気持ちはあるけども、スキルが追いつかないというジレンマもあるのかなと。
そういう人たちに対して「いや、やれよ、平等に」って言いすぎるのは、かえってそのムーブメントを減速させる可能性がある。対立構造をつくったりとか、逆に責めすぎてしまう構図を作ってしまう。なので、敵を作るよりかは、皆にとっていいよって、功利主義的な、皆幸せになるよっていう打ち出し方が今の世代、特に重要なんじゃないかと思っています。
現役世代の男性向けの料理教室が必要
阿古:妻がマウントする場合もあるわけですよね。「あなた、へたくそ」とか、「どうしてこんなこともできないの!」って。いや、ベースが違いますから。女性のほうは、自分が将来やるだろうと思って、親の観察もしていたり、あるいは手伝わされたり、それこそノウハウを伝授されてきた。その差を妻たちが理解していない可能性もありますよね。だからやるべきは、それこそ現役世代の男性に向けた料理教室ですよ。
前島:確かに。リスキリングですよね。
阿古:シニア向けのものは、2、30年前に流行って、今も料理教室の選択肢の1つとしてある。ただ3、40代の場合は子育てもあって時間も含めて、彼らが気楽に入れることが必要です。
以前、友人でスープ作家の有賀薫さんと「新しいカテイカ研究会」というのを作って家事の話を時々していたのですが、その有賀さんがこの間やっと実現させたのが男性向けの家事について語る会なんですよね。
そこで、3、40代の人たちが、子育てしながら普通のこととして家事を受け止めているというのを見て感動したとおっしゃっていて。その人たちの悩みは、職場でマウントされるから、「この食材どうしてる?」とか家事の話が気軽にできないということでした。
ひと昔前にイクメンが流行ったときに、育児のことを共有できる場がないと悩んでる人がいましたが、今はもっとそれが広がっているので、励まし合ったり、スキルの伝え合いとか、専門家に教わるといった場所があったほうがいいと思います。