「武田家が滅亡」裏切り者が続出した"きっかけ" 窮地に立たされた勝頼、信用を失ったその理由

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甲斐の府中(甲府市)に人質としてあった梅雪の妻子は、雨夜に紛れて密かに脱出させたという(2月25日)。梅雪は武田一族であり(生母は武田信玄の姉)、その裏切りは武田勝頼にとってショックだっただろう。

重臣にも裏切られた勝頼

梅雪が織田方に降ったことによって、甲斐への進軍は容易となった。勝頼は新府に戻るが、館に火をかけ(3月3日)、重臣の小山田信茂を頼ろうとした。

しかし、信茂にも裏切られて、3月11日、追い詰められた勝頼は、妻子とともに田野(甲州市)で自害して果てる。名族・武田家はついに滅亡した。

濱田 浩一郎 歴史学者、作家、評論家

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はまだ こういちろう / Koichiro Hamada

1983年大阪生まれ、兵庫県相生市出身。2006年皇學館大学文学部卒業、2011年皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。専門は日本中世史。兵庫県立大学内播磨学研究所研究員、姫路日ノ本短期大学講師、姫路獨協大学講師を歴任。『播磨赤松一族』(KADOKAWA)、『あの名将たちの狂気の謎』(KADOKAWA)、『北条義時』(星海社)、『家康クライシスー天下人の危機回避術ー』(ワニブックス)など著書多数

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