アプリ使って「半年でマイホーム作る」驚きの方法 NFTを使った都内のシェアハウスの運用例も

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DAO型シェアハウスは入居者1人ひとりが主体的に住環境の改善に取り組めるため、多様化するライフスタイルに寄り添ったこまやかな運営が可能になります。同時に入居者たちの間に豊かなコミュニケーションが生まれるきっかけにもなるでしょう。シェアハウス特有のコミュニティ形成という特徴も活かせます。

賃貸住宅やシェアハウスにDAOのようなしくみが増えると、単に借りている場所から「創造する場所、育てる場所」へと、見え方が変わっていくのではないでしょうか? 「住むを楽しむ」そんな新しい暮らしがイメージできます。

最近は「ADDress(アドレス)」など、全国の空き家や古民家で多拠点生活を叶えるサブスクリプション型のサービスも人気です。

多拠点生活にDAOを取り入れると、住みたい場所を自分で立ち上げるという楽しみ方もできますし、地域創生や街づくりの1つとして社会貢献にもつながります。「全国に自分が立ち上げに参加したシェアハウスがある」なんてとても夢がありますね。

投資目的に利用される懸念は?

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NFTはサービス設計によって投資目的に利用される懸念がありますが、「Roopt(ループト)神楽坂」では、自家型前払い式という支払い手段を採用し、投資目的のトークン購入を防止しています。これは「使う分だけ前払いをして、使用量に応じて消化していく」というしくみです。

なお保有にあたって配当は出ませんが、2次流通は可能なため、DAOが人気になれば利用権を高く売却できる可能性があります。

DAO型シェアハウス「Roopt(ループト)神楽坂」は、対照的なジャンルの企業が協働して生まれたプロジェクトです。株式会社ガイアックスはWeb 3やソーシャルメディアといった、テクノロジー活用を得意とする企業。

一方の株式会社巻組は、空き家のリノベーションによる再活用を軸として、リアルな現場で地方創生を行っている企業です。巻組は宮城県石巻市を本拠地として、東日本大震災の被災地に残された空き家の再生に取り組み、次世代に生きる人たちへの幸せな暮らしにつなげようと尽力しています。

テクノロジーとモノ(建物)づくり、そして住む人への想いがつながり、街を社会を変えていく。こうしたシェアリングエコノミーは社会を変える大きな力になっていくことでしょう。

佐藤 浩之 Ridgelinezシニアアドバイザー

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さとう ひろゆき / Hiroyuki Sato

Ridgelinezシニアアドバイザー。ブロックチェーンベンチャー Digital Platformerアドバイザー。東京大学経済学部卒業。ニューヨーク大学経営大学院スターン校卒業。NTTドコモの海外子会社CEOを歴任後、日本本社のマネージング・ディレクター、グローバル・パートナーシップ&イノベーション責任者として、NTTドコモが手掛ける世界中のZ世代に寄り添うVTuber「Tacitly」運営などに携わったのち現職。身近な事例をもとにしたメタバースの概念を研究している。

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