2011年にデイヴィッドは博士課程学生クラウディア・マルティネス=コルデロと一緒にジャマイカの首都キングストンに向かい、テレンスと彼の博士課程学生クラウディア・キャンベルの実験準備を手伝った。
この実験は、ほとんどの点でシドニーでの実験と同じだったが、1つ違いがあった。バッタやゴキブリなどの実験で行ったように、人間の被験者が同じタンパク質の摂取ターゲットを達成したかどうかを調べ、達成した場合は、被験者が摂取した主要栄養素の比率を調べることにした。
みんな「タンパク質比率15%」の食事になる
63人の志願者は最初の3日間、タンパク質比率が10%、15%、25%のメニューから好きなものを自由に組み合わせて食べることができた。つまり組み合わせ次第で、タンパク質比率が10%から25%までの食事をすることができた。
それでも被験者全員が、多様な選択肢を組み合わせて、全体とすればタンパク質比率が15%に非常に近い食事を摂った。これは世界中のほとんどの人が摂取している比率に近い値である。
続いて、各被験者にタンパク質比率が10%、15%、または25%だけの食事を与えた。
第2ステップでは、シドニーでの実験と同じ結果が出た。今回も低タンパク質食を与えられた被験者は、全体的な摂取量と摂取エネルギーを増やし、5日間の実験期間中に体重増加の兆しさえ見せた。
私たちの動物研究は、人間に関するきわめて大きな問題、いや、最大の問題の1つ――人間が200万年におよぶ人類史に類を見ないほどの体脂肪を蓄積するようになった原因は何だろう?――を解き明かす可能性があるように思われた。
ヒトはタンパク質が欠乏し炭水化物が豊富なこの世界で、タンパク質のターゲットを達成するために、炭水化物と脂肪を過剰に摂取し、肥満のリスクを負っている。食事のタンパク質比率が高い場合、ヒトはタンパク質の過剰摂取を避けるために、炭水化物と脂肪の摂取を減らす。高タンパク質食が減量を促すのは、このためである。
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