次にアリソンは22人の健康でやせ形の志願者を集め、4日ずつ3回に分けて、シドニー大学睡眠研究センターの宿泊施設に少人数のグループで缶詰にした。
アリソンは被験者を毎日1時間散歩に連れ出し、その間被験者がこっそり抜け出してスナックを買いに走ったりしないよう監視した。被験者は、全員が毎週同じメニューを食べ続けていると思っており、また実験の目的を知らされていなかった。
嗜好性、エネルギー密度、多様性、提供数のすべての点で、抜かりはなかった。もし被験者のタンパク質摂取量に違いが見られるとすれば、それはメニューのタンパク質比率の違いによる可能性がきわめて高かった。
はたして今回の被験者は、スイスの山小屋の学生と同じように行動し、低タンパク質食では食べる量を増やすだろうか?
実際、彼らはそのとおりの行動を取った。低タンパク質食を与えられた被験者は、その週の間、摂取カロリーを12%増やした。
12%という総摂取カロリーの増加は、世界的な肥満の蔓延を説明するのに十分である。
私たちは現代世界の食事の縮図をつくり、前の実験と同様、憂慮すべき結果を得た。
「しょっぱいスナック」が食べたい
興味深いことに、余剰カロリーのほとんどは、食事量の増加ではなく、間食から来ていた。
実験では甘い系としょっぱい系の両方のスナックを提供した。たぶんあなたは、余剰カロリーはすべてスイーツのせいだと思うだろう。
ところがそうではなかった。増加したカロリーのほぼすべてが、しょっぱい系の、旨みの感じられるスナックから摂取されていた。
旨みは食品がタンパク質を含んでいることを知らせるシグナルだ。低タンパク質/高炭水化物・高脂肪食の被験者は、味だけタンパク質に似せて高度に加工された食品を食べていたため、体がタンパク質を欲し続けていた。
その後私たちは、シドニーの実験を少し変えたものをジャマイカで行う機会を得た。当時デイヴィッドが拠点としていたオークランドでの研究仲間、サー・ピーター・グラックマンの紹介で出会った、西インド諸島大学のテレンス・フォレスター教授の計らいである。